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［キャンディ］

街で、駄菓子屋さんへ入った理或は、色とりどりの包みの駄菓子の中から
紙製のスティックの持ちてが付いた楕円形の平たい飴を見つけた。
色は三色。赤いのは苺味。橙は蜜柑味。紫は葡萄味だと思った。
理或は、三本を手に取り眺めた。
店のおじさんは背中を向けている。
何故だか振り向かないでと思っている。
「おじさん、これください」
赤い飴を差し出した。
「はい、どうぞ」
おじさんが微笑んで言った。
「ありがとう」
理或は店を出た。
（わあ、お金払わずに貰っちゃった）
そんなことを思いながら舐め始めた。
味もわかるような気がしながら、舐めていく。
しだいに薄硝子のようになっていった。
（ずいぶん薄くなったぞ）
得意気に舐めていると猫が目の前に飛び出した。
「あ、痛っ」
刃物のように薄い飴で、理或は口の中を切ったらしい。
流れる真っ赤な血。
いくら口を強くつむってもどくんどくんと出るようだ。
口いっぱいになったものを吐き出した。

＞＞理或は、目覚める！

頬を濡らす生温かい液体。
ピローケースに広がるそのシミは多量のヨダレ。
理或は、外して洗濯カゴにほおり込んだ。