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海野ごはん
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novelistID. 29750
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裸電球

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「それで競馬は勝ったの?」
「それがな~、初日に万馬券当てて50万円の儲けよ。ビギナーズラックという奴か、あれ」
「ふ~ん、それで」里恵はなんだかむかついた。
「で、その50万円で競馬場巡りしようと彼女が言い出したわけよ」
秀治には里絵の気持ちの変化なんかわかるわけなかった。そういう繊細な気持ちがあれば他の女と旅行に行くことはありえない。
それにまた戻ってくるのだから、どこか頭のねじが外れていると言われてもおかしくなかった。
秀治は4日間の競馬の話を面白おかしく里恵に聞かせた。
「それで50万はどうなったの?」
「なくなった。右肩下がりでなくなった。ビギナーズラックは一回だけなんだな」
秀治は残念そうに言う。彼女の話をするわけでもなく競馬の話だけを上手にする。
里恵も彼女のことは聞きたいようであり聞きたくないようであり、秀治の笑い顔を見ていると
「帰ってきたんだからいいか・・」と、へんなところに落ち着くのであった。
「飯、飯くれよ~」秀治は子供のように里恵に言う。
里恵もわが子のように、ふらっと出て行った男にしつこく言わないで夕飯をよそおった。
波風立たないのが秀治には居心地がいいのだろう。
西日が差し込む古いアパートの狭いキッチンで、
里恵の作った夕飯をがつがつ食べる秀治の顔を見る里恵は母親の顔だった。



数日後
秀治は相変わらずお店では大きな声で騒いでいた。明るく務めると言うより、秀治の性格だった。
秀治の店はカウンター席が8席と十人くらいが座れそうなボックスがひとつのこじんまりとした店だ。
音楽は昭和の洋楽に、時おり女性シンガーのブルースがお決まりだった。
常連客は怪しい仕事の連中が多かった。だいたい深夜の5時まで遊ぶ奴らなんて普通の人たちじゃないことは確かであるが。

2時を過ぎて、綺麗な美人のお客が現れた。秀治の好みの豊満な体をしていた。
「初めてですよね」秀治の声に緊張感が。
「はい、ほらこんな時間に開いてるお店ってあんまりないでしょ、ここら辺じゃ」
「あ~、だから来られたんですね。深夜はお好きですか?」
「いつも眠れなくてね・・」
「美人が眠れないのは歓迎です。またチョイチョイいらしてくださいよ」
「え~ぇ、私好みのマスターだからひいきにしちゃおうかな」
秀治はいつもより舞い上がってしまった。もう3年もお店をやってるが、彼女は飛び切りの美人だった。
里恵とはぜんぜん違う。秀治の頭の中での理想の彼女に近かった。
秀治とは十歳の歳の差があった。名前は景子という。

作品名:裸電球 作家名:海野ごはん