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紗の心

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その人が、姿を隠してから一年以上・・季節は桜の木に新緑が出始めたのだから、
もう一年半になろうとしている。
だが、なんの便りも届かない。
いくら私の携帯電話の発信履歴にその人の名が連なろうと、着信は一度も入ってこない。
[只今、電話に出ることができません。ピーッという発信音の後にお名前、ご用件を
お話ください]
(今日もこれか)とほぼ毎日の日課のように掛けていた電話も日が空くこともあるようになった。
だが、そのアナウンスが掛けるのを断ち切れなくさせている。
いっそ[この電話は、現在使われておりません]とでも流れたのなら、諦めが付くのだろうか・・?

たぶんあの男、いや奥さんとは繋がりはあるだろう。
だが、私が、あの男に尋ねることはできないし、したくない。
あの男からのメールももう一年ほどないのだから。

桜が咲く頃までは、春が待ち遠しい。
桜が散ってしまうと春も終わったように感じるのは、私だけだろうか。
陽射しが急に暑く感じる。
まだ、夏というには早すぎるのだが、梅雨を迎えるまでのこの時期は蒸し暑く、腕まくりしたカッターシャツを営業に回る直前に下ろして向かう。
まだエアコンもつけない会社も少なくない。クールビズなど言葉だけの代物だと思う。

作品名:紗の心 作家名:甜茶