片山レンジャー 前編
「で、良く解らないスーツを貰いましてね」
思い出話だが、余計な心配を招くと自爆の所は言わずに説明する。
「だから、僕が戦いで役に立つには自分で鍛えるしかないんです!」
片山レンジャーは意気込んで言う。しかし、恵子ちゃんの返答は単純明快だった。
「馬鹿みたい」
「で、ですよね...」
「まぁ、あたしの嫌いなヒーロー連中とは違うみたいだから良かったわ」
「...恵子ちゃんは、なんでヒーローが嫌いなんです?」
恵子ちゃんは目を丸くした。そして大きく二回瞬せ、言う。
「...普通、自重するような事をずばっと聞くのね、あんた」
「え?その、言いにくい事なんですか?」
「ん~......」
少し、上を向いて考える...そして、彼女は息を吐いた。
「ま、あんたのへっぽこな過去に免じて、教えたげるけどさ」
「はい」
恵子ちゃんは、大きな息をもう一つ吐いた。
「あの日は、雨でね...赤い傘を差してたの」
「ほう?」
「ママとね、買い物帰り。ママのお腹には、あたしの弟か妹が居たの」
作品名:片山レンジャー 前編 作家名:なっちょん