片山レンジャー 前編
「えっと、僕達片山レンジャーが誕生したのは」
「まず待って!達って!?他にもいるの!?」
「はい!と、『居た』が正しいです。戦隊は五人組が基本ですから!」
「そのダサいのが五人も...」
「ダ、ダサいですか?」
「デザインはまぁ許せるけど、色が酷い」
恵子ちゃんは少し眉をひそめて片山スーツを指差す。
「ああ、色は仕方ないですよ。僕、片山うぐいすですから」
「それうぐいす色だったの!?」
「ええ。片山レンジャーは、レッド、ブルー、ブラック、ピンク、うぐいすの五人組でした」
「見事にババ引いたのね」
「ぐぅ...」
ババと言われて、言葉を詰まらす片山レンジャー。しかし、すぐに思考を切り替えた。
「えっと、まぁ、それはですね...結成時、あそこはヒーロー調整区域でしたから。色に土地感付たんでしょう」
「何よ?その調整区域って」
説明しよう。
ヒーロー調整区域とは。概ね、政府管理ヒーロー担当予定地域を指す。
近い将来、その地域へは担当ヒーローの派遣を考えている政府の方針があり。
この地域に民間ヒーローが増え過ぎた場合、いずれ衝突が起こると考えて規制を掛け、その土地の住民以外はヒーローになれなくした地域を、ヒーロー調整区域と呼ぶ事となったのである。
ちなみに、この地域に指定された場合、基本的に住民が資金を集めてヒーローを作る事が多いのだが、土地食が強く出るのか、ヒーロー微妙率(ヒーローが『何それ?微妙...』と言われる確率)が高いといわれている。
「ふぅん」
「それでですね。三丁目の博士に片山スーツを作ってもらったんですが」
「うんうん」
作品名:片山レンジャー 前編 作家名:なっちょん