片山レンジャー 前編
恵子ちゃんの問い掛けに、片山レンジャーは少し首を傾け、問い返した。
「そんな事、と言いますと?」
「その筋トレとか」
「ああ、片山スーツは筋強化繊維使ってませんから、僕普通より筋トレしないと駄目なんです」
「ふぅん、役立たずなのね」
「や、役立たずじゃありませんよっ!」
「だって、ヒーローはみんな凄いじゃない」
「うーん...僕のスーツを説明するには、過去を語らねばなりませんが、お時間大丈夫ですか?」
少し首を傾けてから、恵子ちゃんは軽く頷いて近くに座った。
「うん。ま、今日は日曜だし、良いよ」
「では...」
「あ、走るのやめて話してね」
「はい!休憩にします!」
言って彼はマスクを取り、おにぎり片手に語りだす。マスクを取ると実は中々整った顔立ちなのだが、名前や言動が損させている様だ。恵子ちゃんはなんとなく面白くなさそうに、唇を尖らせた。
作品名:片山レンジャー 前編 作家名:なっちょん