片山レンジャー 前編
二坪程度の片山池だが、石の囲いは走るのに適している。と思った日より、彼は朝を走る事にした。小さな池を、全力疾走五千周。
途中、着替えた恵子ちゃんが、おむすびに奈良漬け添えてもって来た。
「はいこれ、朝ごはんよ」
「おおっ!ありがとうございます!」
走りながらの返礼に、恵子ちゃんはじとりと睨む。
「あんた、バターになる気?」
「え、僕のバターは美味しく無いですよ?」
「まあ、まずそうだけどさ」
軽く息を吐いてから。恵子ちゃんはおむすびを置く。
「走った後も、何かするんでしょ?」
「はい!逆立ち腕立て五千回、片足スクワット二千五百回ずつで、反復横飛びを三万回。あとは...」
「...もう良いわよ」
大きく手を振り、言葉を遮る。
「でも、何でそんな事するの?」
作品名:片山レンジャー 前編 作家名:なっちょん