片山レンジャー 前編
それから少しの時間が経ち、斎藤家もある程度この地域に打ち解け、片山レンジャーとジョギング中の柏木さんとの世間話の話題にも上がる様だ。
「恵子ちゃんは最近どうかね?綺麗になっただろ?」
「はい!恵子ちゃんは前から綺麗でしたが、最近はぐっと大人びてきました!」
「ほほう?」
「胸はまだまだ発展途上ですがねっ!」
「こらあ!変な事を大声で言わないでっ!」
怒声と共に、投げつけてくる目覚まし時計が二階から。
「はっ!?」
気配に気付いた片山レンジャー!恵子ちゃんお気に入りを壊さないよう、そっと顔面で受け止めた。
「ぐっ!」
がつん!という鈍い衝撃は、顔のマスクから火花が散る程であり、痛い。本当、激しく痛いのだが、ヒーローは痛みに強い様に見せなくてはならない。マスクの下では大変な表情をしながら、元気そうな声を掛けた。
「け、恵子ちゃん!おはようございます!」
「むぅ...おはよ」
彼の気が恵子ちゃんに向けられたのをみた柏木さんは、朝の雑談を打ち切った。
「片山レンジャー。それじゃ私は行くよ」
「あ、はい!お気をつけて!」
「はい、ありがとう」
柏木さんがお腹を揺らして去っていくのを確認すると、片山レンジャーは朝のトレーニングを始めた。
作品名:片山レンジャー 前編 作家名:なっちょん