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なっちょん
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novelistID. 25113
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片山レンジャー 前編

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「あ、っと、そうだ、あんた名前、教えてよ」

 ようやく落ち着いたのか、元の位置に座って恵子ちゃんは聞いた。

「え、名前ですか!?」

「うん、元の名前はなんて言うの?ダサいヒーロー名は呼びたくないんだけど」

「ああ...」

 名を問われた片山レンジャーは、少しためらいながら口を開く。

「僕、名前は、その...」

「何?変わった名前でも笑わないわよ」

「いえ、実はですね。その、僕は、生まれてすぐに両親を亡くしましてね」

「え、うん」

「片山レンジャーになるまでの十七年間、『おい』とか、『それ』とかで呼ばれてたんで、自分の名前知らないんですよ」

「うっ、えええええ!?」

「参っちゃいますね。とりあえず笑ってやって下さいな!あっはっははは!」

「い、いやいやいや、笑うような問題じゃないし!というか、何でそんな暗い過去で笑えるのよ!?」

 少しだけ目を細めて、彼は言った。

「今、僕は楽しいですからね」

 その響きには、チラと真実が含まれている。