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なっちょん
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novelistID. 25113
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片山レンジャー 前編

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「楽しい...の?」

「はい!僕は片山レンジャーになるまで、人間じゃなかったんです!」

 さりげなく重たい発言に、恵子ちゃんの顔は引きつる。

「う、うん」

「でも片山さんが破産して、片山レンジャーは解散...僕はまた物になる所だったんですよ!」

「う、う、うん」

「それなのに、恵子ちゃんと吾郎さんが拾い上げてくれました!人間扱いして頂きました!僕にとって、こんな素敵な事はありません!!」

「あー、うー、そのー」

 今度は恵子ちゃんが言葉を探す番だった。その様子を見て、片山レンジャーは自分の過去話は、投げ返しにくい事柄であったと気がつく。

「あ、気を使わせてしまいましたね。僕、頭悪いから大丈夫です。すぐに忘れちゃいます!」

「それ、忘れちゃ、駄目だと、思う、から、その...」

 恵子ちゃんはすっと近寄る。そして、片山レンジャーをその胸に抱いた。

「あ」

 自分が発展途上と評した胸は、しかし、不思議と落ち着く場所であった。

「むぅ、さっきのお返しだからね」

 彼女は頬を赤く染めている。胸の中で、彼が大きく息を吐くのを感じた。

「今まで、つらかった?」

「...はい」

 二人は、しばらく無言で過ごした。
 



                                つづく