CROSS 第18話 『Embassy』
それから、数日後、『地球連合』と称するプラント理事国は、
プラントに宣戦布告した……。
それまでの数日間、山口はテロを調査していた。シャトルの事故
の件は、それどころではないせいで、うやむやになったらしい。
宣戦布告の後は、戦争に巻きこまれた場合の相談をしにくる邦人
への対応の手伝いをすることになった。
そんななか、コロニー『ユニウスセブン』へ、あの科学者に種を
渡すために向かわせたCROSS隊員から連絡が入った。あの科学者
に種を渡したという連絡だ。隊員は、帰りの船が少ないので、もう
少しそこに滞在するらしい。山口は、シャトルで迎えに行こうかと
考えたが、事故ったばかりなので、シャトルを使わせてもらうのは
無理そうだった……。
『コロニー『ユニウスセブン』が、地球連合軍により核攻撃されました! 繰り返しお伝えします! コロニー『ユニウスセブン』が、地球連合軍により核攻撃されました!』
その突然のニュースに、山口は唖然となった……。コロニー『ユ
ニウスセブン』にいる隊員から、そこを出発したという連絡は入っ
ていなかったのだ……。
山口は身体を震わせながら、CROSSバッジを使い、隊員を呼
んだ。しかし、何度呼んでも、隊員は応答しなかった……。
他にも安否確認ができない邦人が、少数だがいたらしく、大使館
は騒然となった。
そのニュースが流れてすぐ、大使館はさらに騒然となった……。この世界から脱出をしようとする邦人が殺到したり、ナチュラルの同類だということで、一部のコーディネーターが大使館に乗りこんできたのだ……。
職員たちは、邦人への対応に追われ、警備兵たちは、乗りこんできたコーディネーターを大使館の外へ追い出していた。
山口は、隊員の安否確認にだけ集中した……。みんな忙しく、山口が個人的なことに集中していることなど、誰も気にしていなかった……。
そして、山口は、隊員の名前が死亡者欄に載っていることを確認した。確認した彼は、ふらふらと自分の部屋へ戻っていった……。
【 第18話 終わり 】
つづく
作品名:CROSS 第18話 『Embassy』 作家名:やまさん