アトリエの恋
「でも、描きたいものを描いていいんでしょ?」
眼鏡をかけた中年の痩せた女性だった。木島さんだと、さやかに教えられた。
「どうしても描きたいなら描いてください。四人目の犠牲者になりたければ、の話です」
全員が少し笑った。
「上戸彩のためなら死んでもいいけど、ちびまるこじゃなぁ」
それは還暦という感じの、どこか職人風の男だった。さやかは武井さんだと教えた。
「上戸彩はいいね。許します」
また全員が笑った。
「梅田先生、キムタクは駄目よね」
云ったのはちょうど三十歳くらいのOL風だった。河合さんだと、さやかは云った。
「キムタクかぁ。私と似ているからいいかな」
結構受けて全員がやや大きく笑い声を挙げた。
「阿坂さんでしたっけ、こういう雰囲気ですけどよろしくお願いします。村田です」
七十は間違いなく過ぎていそうな細身の男だった。
「阿坂さん。こっちの方はどうですか?」
教師は酒を飲む真似をした。
「危険な誘いですね。受けて立ちますよ」
「さしで勝負という口ですか。もう一本買って来ないと足りないかな?」
また全員が笑った。