アトリエの恋
「かなり涼しくなったね。今年の愉しかった夏も、もうすぐ終わるね」
公園内に二人だけだった。
「あの星空、きれいだったわ」
「ここからはほんの少ししか見えないね。でも、池があるね。水鳥もいる」
二羽のカモが水の上を移動していた。
「アオちゃんは居るかな?」
「何?アオちゃん?」
「そう、アオサギのアオちゃん」
「アオサギって、大きいよ」
「そうよ。身長が一メートル」
「嘘だそれ。そこまで大きくないよ。七十センチくらいかな」
「……あっ!居た」
「どこに?」
「ほら、筏の上」
鶴に似た体形の鳥が、長い脚で立ち、彫像のようにじっとしていた。暗いので色までは判らなかった。
「……本当だ……アオちゃんか」
「ねえ、居たでしょ。アオちゃん」
「まさかと思ったけど、居たね……座ろうか」
池を囲んでたくさんのベンチがあった。
「いいわよ」
二人は寄り添って座った。