アトリエの恋
酔いのせいで二人ともぼおっとしながら凝視め合っていた。
「阿坂さん。停留所過ぎちゃった」
見慣れたコンビニの明るい店内が車窓を流れて行く。
「あっ……さやかさんは次の次だったね」
「ええ、一緒におりるの?」
「歩いて帰っても十分ちょっとだよ」
「気をつけて帰ってね」
「さやかさんもね」
「仕事探し、頑張ってね」
「うん……お父さんは優しい?」
「ええ。優しいわ」
バスが停留所に着いた。数人が下り、そして発車した。
「お姉さんはいくつだったかな?」
「三十歳。独身よ」
「身長は?」
「どうして?」
「二人揃って小柄なのかなって……」
「そうね、姉は普通でしょうね。わたしは小柄?」
「でも、好きだよ。百七十センチ以上のでっかいひとよりは全然いいよ」
「あっ。もうすぐ」
二人は数人とともにバスからおりた。眼の前に樹木の多い公園がある。二人はそこに入って行った。