アトリエの恋
「撮りましょう。いつかね」
「あっ!猫ちゃんがいた」
住宅の門の上にきれいな猫の姿が見えた。黒虎と白が半々の猫はかなり器量良しだった。さやかが傍に行くと、猫はひと声鳴いて返事をした。
「家にもいるのよ。ミュウっていう名前の女の子」
「色は?」
「三毛で、生まれてすぐのを先月もらって来たの」
「まだ子猫だね」
「可愛いのよ」
「可愛いだろうね。子猫はずっと見ていても飽きないね」
高台の公園に着いた。ベンチがたくさんあり、何組かのカップルが抱き合っていた。
長いキスをしているカップルが少なくない。
阿坂がさやかのためにハンカチを出した。並んでベンチに座った。二人は空を見上げた。生憎曇り始めていて星は見えなかった。阿坂は鼓動が速くなっているのを感じていた。
「残念ね」
「山登りは好き?」