アトリエの恋
「ねえ。浩樹さんの星座は?」
「てんびん座だからふらふら落ち着かないのかな?」
「わたしはおとめ座よ。ぴったりでしょ」
「さそり座じゃなくて良かったね」
そうよわたしはおとめ座の女と、さやかは笑顔で歌った。阿坂は身体中がしびれるような反応に燃えた。さやかの歌声は歌手にしたいくらいに魅力的で可愛らしいのだった。
阿坂の胸の奥で抱きしめたいという気持ちが疼くように湧き起こる。せめて手を繋いで歩きたいのだが、彼は我慢しながら歩いて行った。
「わたしは着物が好きなの」
「そう、似合うだろうね。見たいな」
「着物姿を写真に撮って頂けますか?」
「写真は好きだよ。撮るときの気持ちがね」
「じゃあ、お願いします」
「だけど結果はいつも裏切るね。写真は……」
「上手じゃないの?」
「そうだろうね。何事も勉強が必要だね」
「じゃあ、だめ?」