小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
マナーモード
マナーモード
novelistID. 29058
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

アトリエの恋

INDEX|34ページ/102ページ|

次のページ前のページ
 

 「怖がらないでね。わたしは……何でもない。ごめんなさいね。春はね、人の心を狂わせるのよ。
幸せってっね、掴み取ろうとすると、すり抜けてしまうものなの。だから、驚かせてはだめよ。
恐る恐る近づいて行って、気がつかないうちに、掌に閉じ込めてしまわないと……」
さやかの瞳が燃えているように見えた。阿坂は彼女の急変に胸を衝かれていた。そして、驚かされた。
  手を繋がれてしまったのだ。そして、コンサート会場の入り口の階段に向かって、引かれながら走りだした。こんな夢を、見たことがあると、阿坂は思っていた。その夢をみながら、泣いていたような気がした。
 現実が夢を追い越していると、彼は思っていた。
 
          *


 広いコンサート会場の客席のほぼ中央に、二人は入った。さやかは座ってからも阿坂の手をはなさなかった。
「子供の頃に……小学校の六年生だったかな、こういうところにまぎれ込んだことがあるよ。知らないおじさんにくっついて入っちゃったんだ」
「小さい頃から音楽が好きだったのよね」
作品名:アトリエの恋 作家名:マナーモード