アトリエの恋
「……そうだった?……そのくらいのことは察してやらないとだめだなぁ。修行が足りないね。じゃあ、次のときは目いっぱいサポートさせてもらっていい?」
さやかは笑顔になった。
「ええ、お願いします」
「じゃあ……」
阿坂は右手を差し出した。さやかはやや遠慮がちに、男の手を握った。阿坂はその小さな手を握り返した。
「あっ!浩樹さんのプレゼント、開けてもいいかな?」
「復水盆に返らずか、もっといいものにしたかったな」
「……開けちゃうよ」
さやかは嬉しさを満面に顕わしている。緑色のリボンをはずして彼女は包装の中身を
取りだした。それはきれいな蝶の絵の箱に入っていた。その中からは薄紫と水色がグラデーションになっている壜が現れた。
「あぁ、アナスイの香水ね。ありがとう」
「ロック・ミー・サマー・オブ・ラブ」という名称である。