アトリエの恋
「で、切ってしまって、また掛け直す」
「そうすると話し中!」
「そう、そう!両方で掛け合っているから」
二人とも笑顔だった。二箇月のブランクも、同じようなことだったのかも知れないと、
阿坂は気付いていた。何となく話したくなさそうだと、両方で思っていた。ほんとうは互いに話したかったのかも知れない。
「番号を……」
「あっ!まだ教えてないんでしたっけ?」
阿坂は急に自分の番号を云った。
「電車の中だから……」
さやかは周囲を見回して云い、バッグから手帳を出して記入した。
「素早いなぁ」
「不動産屋で働いてるでしょ。相手が番号を云ったら、さっとメモしないとね」
「なるほど。そういうことなんだ」
「そうなの……お正月はすぐね」
「あっ!なんてわざとらしいけど、今夜はイブですね」
「そうですよ。二十四日よ」
阿坂はバッグから緑色のリボン付きの箱を出した。
「はい」
「プレゼント?」