アトリエの恋
阿坂に対してのその二人の反応は、だから納得できるもの、と云うこともできた。しかし、半ば指導者的立場を余儀なくされている阿坂は、その二人から冷笑されているようで落ち着かなかった。
殊にさやかに対して阿坂は、出会ったあの晩のような親しい関係を、修復したいと思っていた。
(どう思っているのだろう)
素朴な疑問だった。
騒音と共に、漸く電車が入って来た。阿坂は思いきってさやかのいる場所に向かって走った。電車が停止するとき、彼はさやかのすぐ傍まで行くことができた。
「あら。阿坂さん」
さやかの表情に、歓迎の色はなかった。
「また飲み過ぎてぼおっとしてたんですよ。さやかさんは強いんですね」
「強いって、何が?」
「お酒。飲んでも余り変わらないから」
「そうですか?阿坂さんだって、弱くはないみたい」