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フライド(ポテト+チキン)

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かおると絵里はハイテンションになっている。僕は彼女達のはしゃいでいる顔を見ていると、勿論嬉しいが、年下という意味の子供と接しているようだ。ポニーテールのかおるは色白で目が大きく、僕の個人的な見方では、北欧系の感じがする。歩いている時などの上を向いているヒップは、かなり刺激される。絵里はお世辞にも美人とは言えないが、女の子が俗に言う、かわいいである。小柄。白のビン留をしている。絵里はすっぴんだが、かおるは少し化粧をしている。何故かおるだけが僕に馴染んでいるかというと、彼女はサッカー部のマネージャーである。将来はスチュワーデスを目指しているらしいのだ。
 僕は一度も負けていない。部屋には沢山のお菓子が揃い、額にしわと鼻の下にひげがあるかおると、もう書きようもないくらいに真っ黒な絵里がいる。僕達は愉快に遊んでいる。その時、インターフォンが鳴る。午後十時頃である。客は谷脇とサッカー部の後輩四人である。僕ら三人は玄関へ。
「兄さん、大丈夫?」
僕は手でかおると絵里を遮りながら、
「全然大丈夫。どうしたの?」
「兄さんのスタミナは凄いよ」
「当たり前だべや。ユース代表だよ!」
かおると絵里は驚く。かおるは僕の肩を叩いて、
「三浦君、わかってるの?」
「昨日、兄さんに話したんだ」
顔が黒い、滑稽なかおると絵里は、無性に喜んでいる。
「お前ら、他人様の玄関だ。長居はできんぞ。それだけか?」
「いやー、・・・一緒に盛り上がろうと思って」
以前のラジカセを持った後輩がドアを開け、内玄関に入る。
「曲は何?」
その後輩は再生を押す。僕、
「おお、いいね」
と言い、付けて、
「谷脇、マイク無いの?」
「兄さん、ボクを見くびらないで」
外の後輩一人がマイクを振っている。
 絵里の家は新興住宅街にあるのだが、外れに位置し、道路の向こう側は、ずっと水田地帯が広がる。僕ら八人は深雪を漕いで、誰にも迷惑がかからない場所まで行く。雪は止み、雲もちぎれ、田舎ならではの星空を手にする。
「兄さん、ヴォーカル?」
「いや、お前に任せる」
みんな、縦一列になる。曲が流れだす。ZOOの「CHOO CHOO TRAIN」である。最初のダンスだけは揃うが、あとはもう自由というか、ハチャメチャである。僕はかおるをバックドロップし、絵里をブレーンバスターし、とにかく動きまくる。でも、心のどこかには、静があり、「今この、僕達が創っている時間は、過去にも未来にもない。大切にしよう」と。
 音が終わる。僕はその場で後に倒れ、大の字になる。みんなも真似をする。全員、白い息を吐き出し、喋らない。僕が
「やべ、明日、学校か?」
と言うと、谷脇が
「そうだよ」
と返す。僕は上体を起こし、
「俺、いかんわ。絵里ちゃんの家、泊まりたい」
かおる、
「私も」
と。後輩の一人が、
「オレもいいすか?」
僕は
「(笑いながら)、ダメだよ、いやらしい」
と言っていると、寝ている絵里が大きな声で、
「いいよ、泊まってって!」
 絵里の部屋。僕は、床に布団を敷いてもらって、寝ている。かおると絵里は一緒にベッドに入っている。もう真夜中である。二人は余程楽しかったのだろう、疲れて寝ている。僕は左耳を枕に当て、壁を見ながら、独り考える。
 僕の人生は、もう高二の終わりになる。一年後には進路選択が待っている。Jリーガーという道もある。一般の人からすれば、羨ましいのかもしれない。でも、僕は努力して、苦難を乗り越え、目標を達成するよりも、下衆でもなんでも、今やりたいことをしたい、湧いてくる欲望に応えたい。僕は間違っているだろうか。僕は小二からサッカーボールを蹴っている。上手くなりたい、と思ったものだ。今はあまり思わない。それよりも彼女、いや、女である。子供から大人になる。人が確立され、徳を積んでいく。そこが違う。僕の考えでは、大人になるにつれ、駄目になっていく。少なくても純真は失われていく。ほとんどの大人が当てはまるに違いない。僕もその一人になるだろう。覚悟はできている。記憶を失って生活する僕もそんな大人、大多数の大人になるに違いない。記憶と自信は直結する。いや、待て、また奮起し努力して、再び実力や自信を・・・。「もう、寝よう」。
 気がつくと、絵里はセーラー服姿である。絵里は起床した僕に気付き、鏡を見ながら、
「三浦君、おはよう」
「おはよう」
「かおるは?」
絵里は未だベッドで寝ているかおるを差す。
「三浦君達、学校行かないんでしょ?」
「俺は行かないけど、かおるは」
僕はかおるを起こす。かおるは目を閉じたまま、何か言おうとするが、布団を引っ張り、また寝てしまう。絵里、
「いいよ。二人で家にいて。今日は終業式だから昼で終わるよ。そうだ、なんか食べたいものある?」
僕はとっさに、
「ケンタッキー!」
と言ってしまう。
 かおるはまだ寝ている。僕はCD棚を覗いている。好きな歌を発見し、コンポの電源を入れ、ヴォリュームに注意して流す。昨晩の残りのジュースを飲み、タバコに火を付ける。
そして、窓を少し開ける。
 十二月二十四日、かなり冷え込んだ。天気は晴れ。放射冷却である。除雪車が入り、道路は圧雪アイスバーンになっている。僕のお気に入りである冬の景観に成りつつある。
 十時頃、かおるが起きる。上下スエットのかおるは、僕の存在に気付いていないのか、スエットを脱ごうとしている。
「かおる!」
かおるは僕を見ながら、ブラジャー姿になる。
僕は両手で目を隠す。かおる、
「(怒り気味に)、三浦君、聞いたんだ、私」
「何を?」
かおるは興奮して、
「なんでなの!?なんで私はダメなの!?」
僕は窓辺からベッドに移り、かおるの隣に座る。かおるは額に汗をかいている。僕がスエットを手に取ろうとした時、かおるは
「私もやりたい」
と言う。かおるの目を見て
「女の子がやりたいなんて言うもんじゃない」
「じゃあ何て言えばいい?」
僕は笑ってしまう。僕は落ち着いて、
「全くダメじゃないよ。ヤッていいのかなー。俺、そんなにイケてるの?」
かおるは下のスエットも脱ぎだす。間近で見ると素肌は湿っている。
「自信もってよ」
「バカヤロー。どうなっても知らんぞ」
僕は、かおるのパンティーを見ながら、学生ズボンを下ろす。コンポの電源を切る。
 午後一時までに、僕は五回果てる。ゴミ箱はティッシュで溢れている。僕らはエッチをし続けたいのだが、絵里の帰宅を待つことに。僕らは下着姿でベッドで抱き合っている。
「三浦君、なんでミンちゃんなの?」
と僕の右腕にくるまれているかおるは、小声で言う。
「なんでだろ。多分、あの鼻だと思うよ。鼻がいいとかじゃなくて、(笑って)、悪いんだけど。怒られるかもしれないけど、僕にはミンちゃんがちょうどいいと思ってたから。かおるちゃんとかは、美人過ぎるよ」
僕はパンティーの中に手を入れる。
「今は?」
「誰かなー。かおるちゃんかもね」
かおるは僕の鼻にキスをする。その時、玄関のドアの閉じる音がする。僕らは慌てて服を着る。
 絵里は部屋に入るなり、僕とかおるの顔をじろじろ見る。または、ゴミ箱を見る。だが、何も言わない。かおる、
「絵里、おかえり」
「ただいま。・・・ケンタッキー、買ってきたよ」