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フライド(ポテト+チキン)

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「俺、腹空いたわ」
チキンとポテトを床の真ん中に置いて、三人で座って囲う。
 「全然足りねー」
僕は正直に言う。絵里はかおるの顔を見る。
かおるはかじったチキンを僕に差し出し、
「これ食べる?」
「いや、チキンもそうだけど、ポテトだよ。まだまだ食べたい」
絵里はバツ悪そうに、
「ごめん。また買ってこようか?」
「絵里、いいよ。三浦君、我慢して!」
「やだ。我慢は」
「私、もう一回行ってくる」
「絵里!」
僕は頭をかきながら、
「いっぱい買ってきて。頼むわ」
かおるは僕をにらんで、
「三浦君、なんか間違ってない!」
「お前は黙ってろ」
絵里は立ち上がり、弾む声で、
「かおる、いいから。そんなケンカしないでよ。私、行くね」
 「三浦君、もういい、頭おかしくなりそう」かおるは、夢中になっている僕に言う。僕はかおるの膝を折り、脛を持って腰を振っている。
「かおる」
 三回ヤッて、僕とかおるは、喋らなくてもいい関係、位置になる。
 ポテトとチキンがエネルギーになる。でも、それらはこうも言えるのではないか。勃起(性欲)の交感神経、副交感神経があるならば、ポテトとチキンに置き換えられないだろうか。
 絵里だけではなく、谷脇もミンちゃんも部屋に入ってくる。谷脇は大きな紙袋を持っている。
「兄さん、これ全部ポテトだよ」
「(笑って)、マジで!」
かおるが、
「みんなで食べようよ」
と。多量のフライドポテトと多少のチキンを囲って、みんなで食べることに。僕はもう空腹に近い。「美味しいとかの問題じゃない」。
僕の右隣はミンちゃんである。「久しぶりだね、ミンちゃん」。
 気がつくと、僕はミンちゃんの膝の上である。みんなが僕を見ている。食いながら寝たらしい。ミンちゃんは僕の頭を撫でながら、「(僕に)、お持ち帰りしていいって」
僕は笑顔になり、
「好きにして」
と返す。
心配そうに見守る谷脇が
「兄さん、頑張り過ぎないでね」
と言ってくれる。
 十二月二十五日、朝、僕は外にいる。凛としている空気。しばれている。ダイアモンドダストも見える。雪道は僕が描いたようだ。「きれいだ。本当に」。ミンちゃんは家からまだ出てこない。これから買物をしに街へ向かうらしい。
 バス停留所。さっきから僕は考えている。「うん!?なんかわかんねーな。昨日の夜、その前・・・」。ミンちゃんは手袋で耳を押さえている。
「ミンちゃん、俺、なんか変になってる」
「・・・・・・」
ミンちゃんは僕の顔をよく見る。僕もミンちゃんの顔を見る。その下まぶたには涙がたまっている。


                 おわり