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檀上 香代子
檀上 香代子
novelistID. 31673
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めぐり糸に結ばれし、わが人生

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広島の銀行で、交換手の免許取らされていたのが、よかった。そして、

面接した店長が広島出身だったので、好感度をもって採用してくれたこ

ともラッキー。ただ、4月は、給料がないので、夕食しか、それも、

アジフライを、二枚の食パンに挟んで食べる日が、一週間続いたころ

友達が気づいて(私は、家から通ってるからおかずまでは無理だけど、

昼のご飯だけは、弁当に詰めてきてあげるから受け取ってくれる?)と

声を掛けてくれた。授業が終わる前に、学校をでて、バイト先に行く私

友達と話す暇もなかったのに、嬉しかった。そして言葉に甘えさせても

らった、給料日まで。 1年の後期に入って、その優しい彼女の姿が見

えなかった。家族の転勤、転居でやめたことが、事務局の人の話で知っ

た。


(2) ショック~ファイト

初めての、演技の時間、先生は演出家程島武夫先生、自己紹介から始

まる。  (ヒロシマ出身の檀上香代子です。)すると先生(君は舞台

には向かないと思う 身体は小さいし声も細い) ショック!でした。

その感情を、押さえ込んで座る。しかし、人に未来を決められるのは、

真っ平ごめんだ~、という天邪鬼的考えが、心に浮ぶ。

反対に先生の考えをひっくり返してみせるとファイト。

先生の時間のエチュード、その合間に峠三吉の詩(人間を返せ)を一人

づつ朗読することになった。その詩を、言葉を思ううち鳥肌が立つよう

な悲しみと怒りの感情が起こり、それに左右されたまま朗読を終えた。

先生が(この前言った言葉は取り消すよ。頑張って勉強しなさい。)

って。嬉しかった。一つクリアだ。秋の第一回発表会に向けて、2人で

演じるエチュードを作る事になり、私の創ったエチュードを、脚本にす

ることになり、その時程島先生から(構成力が有り、発展させる可能性

ある作品)とお褒めの言葉を頂いた。これが、芝居の勉強する自信を貰

ったと思う。


(3) 第一回発表会

一年の秋の発表会は、基礎訓練の発表で、音楽、体操、バレエ、日舞、

外郎売、エチュード、舞台のある教室の壁には、美術のときに書いた自

画像が張られます。全員では、音楽、体操、その後の科目は、バレエと

日舞のどちらか、後は先生が決められたように思う。 私はバレエのほ

うが得意なので、日舞を選んだ。私が招待できたのは、ラジオ中国時代

私が兄の事を書いた(啓)という作文を、ラジオの脚本にして放送して

くださった脚本家の多地さん。私のエチュードが終わった時、多地さん

(君は小さいから、舞台には向かないんじゃないか? マスコミのほう

が、)またか。確かに152cm38㌔、大きいとはいえない。(日舞

を見てください)とお願いした。日舞が終わった後、多地さん(さっき

の言葉は、取り消すよ。舞台で大きく見えたよ。舞台の芝居も、なんと

か大丈夫という可能性がみえた。)と言われた。絶対、負けない、卒業

してみせると自分に言い聞かせた。


(4) 一年修了公演

 入学時の程島先生に、声が細いと言われたとき、その声を創る為に、

オペラの先生に発声を習うことにした。生活は大変だけど、今しかない

と感じた、音痴の私だから。それと、学校の声楽の先生の言葉が、私の

中に入って来れないので、判らないのだ。習い始めて1年後、修了公演

にむけての練習中、一緒にうけていた友達が、感心したように(人間っ

て努力が大事ね。貴女がレッスンしているのを聞いて、この人お金を捨

ててるんじゃないか、先生が音が違うよと言っても、相変わらず、微妙

に狂った音を出すんだもの、でも、今は違うと言われて正しい音に直

せるようになってるものね。) そう、自分を、自分で捨てないこと、

あきらめないことがとりえだもの。生活を切り詰めて習ってよかった。

また、変わる自分の可能性に、希望が見えた。

1年の修了の発表会は、大江健三郎のヒロシマノート、役は小頭症の少

女、模索のままの舞台だった。未熟な私は、新聞記者の相手役に、自分

がイメージの新聞記者を主張し、相手は彼がイメージする少女を主張。

イメージの押し付け合いで喧嘩しながらの役作り、芝居の稽古だった。 

その時は気付かなかったけど、それぞれが頭が硬い、思い込みの時代で

した。終了後、程島先生は(小頭症の少女ではなく、小頭症の少女を演

じようとしている。)頭で考えた少女の説明的な私だったと言う事だ

ったんだと思った。役を創造すると言う事は、どう言う事なのだろうと、

大きな課題が出来た。どうにか一年修了した。


 (5)二年進級 秋の中間発表会

 
 2年の演技の担任は程島先生ではなく、演劇座の演出家、高山図南雄

先生。秋の舞台は、ワイルダーの(わが町)役はレベッカ、こましゃく

れた甘えん坊。そんなイメージが沸きました。まだまだ未熟なので役全

体を創るには重すぎる。勉強過程なので、とにかく、この場面だけはと、

一つだけ課題を決めた。それは朝食の場面、家族のほのぼのとした雰囲

気とレベッカの夢は〔お金。〕という台詞で、聴いている大人が、ふと

暖かい笑いが起こるように、その言葉を当然のように言えるレベッカに

なれれば。本当にこの一点に絞って演じる。つたない芝居だったが、客

席から、優しい笑い声が返ったときは、一つ何かを捕まえたような気が

した。〔慌てることはない、十年で舞台の端から端を歩けるようになる

んだ。〕と、広島を出る事を決めたときの団長さんの言葉を、自分自身

の励ましにしていた。二年の舞台発表の勉強成果はあせらず・・という

覚悟が出来た事か。この後、新たなバレエとの出会いが~バレエとの糸

が巡ってきた。



   (6) 巡りの糸の先~


2年の秋、藤井公、利子夫妻の東京創作舞踊団の男性で、群舞の手伝い

の依頼が学校にあり、クラスメイトのMくんが数人の生徒とお手伝い出

演した。公演の日(裏から入れてあげるからおいでよ。いい作品だよ。)

とさそわれ観に行った。題材は、大江健三郎の(芽むしり仔撃ち)すご

い作品でした。生半可なではなく重いテーマのドラマチックなバレエで

す。主役の加藤みやこ、柳下則夫の感性の素晴らしさ。〔こんな作品を、

創る振付師についってこんな素晴らしい踊り手たちと舞台を創れるよう

になりたいと思った。 頭の隅に、ヒロシマのドクターのストップの声

が聞こえたが、やりたい心の方が強く生活も心配でしたが、やりたいこ

とを我慢して、細々と生きるよりやりたいことをやって、途中死んでも、

そのほうが、人間として幸せだと思い飛び込んだ。バレエは、自分自身

水を得た魚でした。その代わり、生活は最低生活ですが、幸せだった。



  (7) 隠せないこころ~2年修了発表会で得た引き出しは!  


 天徳歌合せの、時期に私は、交際中の同級生Mとの心のすれ違いで、

どうしたら良いのか、自分の胸に重い石を置かれたような息苦しさに、

自分を持て余していた。天徳の立ち稽古、その日は主役の女性が、恋