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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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さくら女子高校(2)

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通学電車


「先生電車の中でたばこを吸っている男子生徒がいるのに、誰も注意しないんです」
大森うららが山崎にそんなことを言って来た。
「悪い事は注意しなけりゃいけないな」
「大人が注意しないのに女の子が出来る訳ないでしょう」
「そうだな」
「先生、7時18分のS市発ですから、生徒指導なんですから、先生が注意して下さい」
「他校の生徒だからな」
「それはいい訳です」
そんな訳でその電車に乗ることになった。
山崎は6時20分に下りの電車でS市に向かった。そして7時18分の上り電車に乗り込んだ。
大森うららも一緒に乗ると言ったが、何かトラブルになるといけないので別行動にした。
前から2両目に3人の高校生が立っていた。まだ早い時間なのでそれほど乗客は乗ってはいない。座る席が有るのに立っていた。
一人の生徒が煙草を出した。隣の生徒がライターで火を点けた。
口にくわえ、煙を口から吐き出した。
3人とも体格の良い生徒だ。
山崎は身長が173センチ。体重は68キロであるが、たばこをくわえた生徒は山崎より一回り大きかった。
「君たち高校生だろう、煙草は良くないぞ」
「高校生は煙草駄目ですか」
「常識だろう」
「おっちゃん20歳から煙草いいんですよ」
生徒は体を斜めにしながら言った。
「そんなこと解ってる」
山崎はまだ生徒が煙草を咥えていたので、口からもぎ取った。
「どんな権利が有るんです。これ見ろよ」
生徒は免許証を出した。生年月日は20歳になっていた。
山崎はパソコンで偽造したものと解っていた。ここで引き下がるわけにはいかない。
「お前たち、学校に行こう。素直にすれば注意だけですまそうと思ったが、許せん」
山崎は生徒たちはA市で下りると思いこみ、電車が停車しているのに、生徒たちが逃げることは予想していなかった。
扉が閉まる寸前に3人とも逃げた。山崎はしまったと思った。
「先生カッコ良かった」
大森うららが寄って来た。