いつか龍になる日まで
いよいよ、次が龍の番だ。龍は、キンキラに光る蝶ネクタイが曲がっていないか、手で触ってチェックした。そういえば、モニターで見てネクタイが曲がっていても、絶対に直してはいけないんだったな。鏡と逆なので、余計に曲げてしまうそうだ。こんな時に、そんなことを思い出せるのは、落ち着いているからかな。と、龍は思った。
「さぁ、続いては、地元から参加してくれたフレッシュなピン芸人。しかも、数少ない素人さんの予選通過者だ。形態模写の昇り龍だー! はりきって、どうぞ!」
龍は、カーテンをくぐって、ステージへと躍り出た。
作品名:いつか龍になる日まで 作家名:でんでろ3