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でんでろ3
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いつか龍になる日まで

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 龍は一念発起して就職活動を始めた。しかし、世は超就職氷河期。龍に門戸を開く会社は少なく、電話をかけても、会ってすらくれない。龍は仕方なく、自分が龍であることを隠して電話をかけ、面接の約束を取り付けた。
 面接当日、龍は、いろいろ迷ったが、首にネクタイだけ巻いて、会場に向かった。会場で出迎えた職員は、少なからず驚いた様子だったが、追い返されはしなかった。
 龍が緊張して順番を待っている間、他の受験者から好奇の目で見られていたのだが、そんな事に気付く余裕もなかった。
 そして、龍の順番がやってきた。
「瀧田龍之介と申します。よろしくお願いいたします」
「おかけください」
龍は静かにパイプ椅子に座った。
「えー、瀧田さんは、我が社にお電話くださったときに、ご自分が龍だとは、おっしゃっていなかったと、担当の者から聞いているのですが……」
「えっ? そうでしたか? いや、言い忘れてしまった可能性はありますが。……。しかし、大抵のことは、人間の方より優れていますよ。身長も2メートルあって、その割にスリムで、人間では入れないようなところにでも入れます。口から火を吐くこともできるんですよ」
「そうですねぇ。空はお飛びになれますか?」
「いや、少しだけ浮けますが、空を飛ぶと言うほどのものではありません」
「うーん。失礼ですが、手先は器用ですか?」
「はっ、私、五爪(ごそう)の龍です」
龍は、ここぞとばかりに胸を張ったが、面接官の反応がないのに気付いて説明した。
「あのぅ、龍はですね、位が高くなると指の数が増えていくんですよ」
「ああ、なるほど。……でも、人間は、基本、5本指ですからね。お見受けしたところ、ずいぶんと爪が長く、節くれ立った手をしてらっしゃる。うちで必要な細かい作業は、お出来にならないのではないでしょうか?」

 ある会社では、長い無職期間のある職歴を突かれた。ある会社では、火気厳禁だと言われ、ある会社では、顔が怖いから駄目と言われた。
 結局、龍は、就職先を見つけることができなかった。