いつか龍になる日まで
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「どーもー、龍でーすっ」
「田上です」
「2人合わせて」
「松竹歌劇団でーすっ」
「『竜田揚げ』や。それに、ネタが、なんぼ、なんでも、古すぎやで」
「いやいや、48付けてSKD48ってしたら、まだまだ、イけるで」
「イけるかっ」
「それは、そうと、日本には、変な風習があるね」
「ほぉ、どんな風習や」
「美しいお月さまを見ながら悪口を言い合うという」
「そんな風習あったか?」
「中傷の名月」
「中秋の名月やっ!」
「そうでしたっけ?」
「なんで、そこだけ、標準語やねん」
「でも、まぁ、月にちなんだ素晴しい俳句がたくさんありますね」
「あぁ、そうやね。日本人は月が好きやからね」
「名月や 座にうつくしき 顔もなし」
「客席を指差すなっ! 失礼やろが」
「名月や 池をめぐりて……ヒトミゴロ?」
「なんで円周率の暗記法になってんねん」
「ちゃうちゃう、ルート2や」
「分かってて言うとんのかいっ!」
「あの月を 取ってくれろと 泣く子かな」
「おっ、まともやないか」
「そんなワガママ言うガキはボッコボコに……」
「待て待て待てっ」
「一家(ひとつや)に 遊女も寝たり 萩の月」
「芭蕉やね」
「『萩の月』パクった土産物が日本全国、どれだけあることか」
「要らんことを言うな」
「おまえも、なんか、無いんか?」
「なんで、いきなり俺にフルねん」
「いやぁ、ネタが尽きました」
「お後がよろしい様で」
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作品名:いつか龍になる日まで 作家名:でんでろ3