ありんこ探検隊
緑の丘は、予想よりも風が穏やかだ。
「ここ良いね。こんな所に引っ越すのもいいんじゃない?」
蟻サンは、大きく手を広げ青空を見上げた。
すると、どこからか声がした。
「おい!おいおまえ達」
「あ、私たちのことですか?」
蟻ーダが前に出て、そいつと向き合った。
相手は、彼らを睨みつけるように見下げた。
羽を忙しく動かして、イラついた表情。そう蟻ーダたちの頭上を飛んでいるのだ。
「話があるのなら、降りて来てくれませんか」
蟻ーダがきっぱりと言うと、『チッ』と瞳を陽に光らせ、近くの草に降りた。
「ほら降りてやったぞ。ここへ何しに来た」
蟻ーダは歩み寄り、説明した。
「私たちの巣が傷んできたので新たな巣穴候補地を探しているところです」
「それは、ご苦労なこった。だがここは俺達の場所だ」とそいつ。
「いいじゃないか。キミとぼくは違うんだし」と蟻サンは口を尖らした。
「おや、何にも知らないんだな。よっぽどお気楽な生活してんだろうな」
すると蟻イチが、蟻サンを引っ張って後ろへ下げた。
「仲間が言ったことは忘れてくれないか。私たちとキミたちは近い縁であることは
わかっています」
すると、蟻イチと蟻ヨン以外の四匹は驚いて身を引いた。
「えー!!!!」
「あれ?みなさんどうしました?こちらのスズメバチさんとは近縁の関係ですよ」
「だって飛んでいるじゃんか」と蟻ニイは指差して言った。
「アリバチという方もいます」ぽそっと蟻ヨンは言った。