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ありんこ探検隊

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「どうしよう。どうしよう」
蚊が啼くよりも小さな独り言の蟻ヨンは、その場に座り込んでしまった。
「蟻ヨーン、蟻ヨーン、そこに居るだろう…」
「いる…よ」そぉーっと覗き見る。
「まずボクを引き上げてくれないか?そうしたら今度はボクがみんなを引き上げるから」
蟻ゴウが大きく手を振って叫んだ。
「…ぼ、僕でき…」
「できるさ!」と蟻ーダ。
「そうだよ。蟻ヨンは物知りだ。何か方法を知っているでしょう?」と蟻イチ。
「できるよ!幸い天気もいい。ゆっくり待っててやるよ。よろしくな!」と蟻ニイ。
黒い大きな仲間の目が、蟻ヨンを見つめた。
「よしよし、僕にだって…」
辺りを見回し、白く揺れる白爪草の茎をかじった。
「ぐえっ、苦いや。でも僕がやらなきゃ」
数本の茎をかじり切り、繋げた。
小石を集め、葉にくるんでその端に結びつけた。
「えっと、あ、あれがいい」
繋げた白爪草の綱を大木のように見えるセイタカアワダチソウにひと回り。
端を崖の下に垂らした。
「で、できたよーー!!」
大きな声だった。きれいな声だった。勇敢な声だった。
「よし、OKだよー」
蟻ゴウが綱に捕まると蟻ヨンは、小石を包んだほうを崖の下に落とした。
「おーこりゃいい」
スルスルと蟻ゴウの体が浮き上がり、轍の上に登る事ができた。
その後は、その綱で蟻ゴウが四匹を引き上げた。
作品名:ありんこ探検隊 作家名:甜茶