ありんこ探検隊
「よし、ここをゆっくり降りて急な斜面だが登るのがいいだろう」
そう蟻ーダは、判断し、隊を副隊長の蟻イチに任せると、轍へと向かった。
「蟻ーダ、気をつけてー」
蟻ーダが、降り始める。降り始めの足元は硬くしっかりしていた。
「大丈夫だ。(よしこれならみんなを渡せるぞ)あ、ああー」
「あ!蟻ーダ……」
途中から、脆くなっていた足場が崩れ始めた。
蟻ーダは足を踏ん張るもずるずると土といっしょに滑り落ち始めた。
「リーダー!手をー…おおお!」
咄嗟に手を伸ばし、蟻ーダの背荷物を掴んだ蟻ニイまでもが引きずられてしまったのだ。
「蟻ーダ隊長―。今私が助けに」
「あ、蟻イチやめろー」
蟻ーダが叫んだが、その声は遅かった。
「お!お!おおおお!…隊長…申し訳ありません。私も落ちましたであります」
「大丈夫か?尻擦り剥いていないか?」
「はい。ご心配には及びません。及びませんが……」
蟻イチは、滑り落ちた崖のような轍の上を見上げた。
上に残った三匹は恐る恐る覗き込んだ。
考えた蟻ゴウは、蟻サンの両脚を掴み、蟻サンは腹ばいで両手を崖の下へ伸ばした。
「もうちょっとだ、蟻ゴウ。もうちょっとで蟻ニイに手が届く」
「よいしょ。うーーん頑張れ蟻サン」
その時、蟻ゴウの背荷物の蓋が開いて女王蟻様からの戴き物が零れ落ちた。
「ボクのぉーー」
「わぁー蟻ゴウーーー!!」
なんということか、手を離して蟻サンが滑り落ちてしまったのはもちろん、戴きものを
追って蟻ゴウまでもが崖の下。
とうとう上には、小さな蟻ヨンだけになってしまった。