ありんこ探検隊
「おーい」
蟻ーダは、聞き覚えのある声に道の脇の小枝に上った。
遥か向こうで前足を振っているのは、蟻サンだった。
「やあ!戻って…いや 皆でやってきたよー」
蟻ーダは、疲れの見え始めた隊列に向かい、声を上げた。
「みんなー頑張れ!もう少しだ。待っていた仲間が出迎えてくれましたー」
隊列にざわざわと声が漏れた。
皆疲れた身体を伸ばし、ひと足ひと足を踏みしめて歩いた。
先頭から最後尾の蟻ゴウが、巣の前に辿り着くまで蟻ーダは、声をかけ続けた。
蟻ーダの横には、いつの間にか蟻ヨンが居た。
ぽしょぽしょぽしょ・・・
「おや?」
「蟻ーダ…おか…おかえり…こしょこしょなさい…」
「相変わらずだなー。蟻ヨン待たせたね」
蟻ーダが、蟻ヨンの肩をぎゅっと抱えた。
「キュルキュル…ルルルルン」
「ふむふむどれどれ。あーなるほど」
もう蟻ヨンの言葉は、蟻ーダには伝わった。
巣の中を眺めてみれば、ほとんど完成しているではないか。
「凄いなー。もう少しで修復完了だね。ありがとう」
そこへ出てきた薄汚れた蟻はスタイル抜群なあいつだった。
「遅いぞ。どうだ。かっこいいだろ、俺」
「「えー?もしかして 蟻ニイ!!」」
思わず蟻ーダと蟻イチは声を上げた。
「もういいっていうのに アリマキたちが押しかけるから此処に逃げ込んでるんだ。そうしたら、何だかいろいろ面白くてな。修繕に目覚めたってわけさ」
「まあ理由はどうであれ、ごくろうさま」
蟻ーダは苦笑した。