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ありんこ探検隊

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最初の旅で知った地形の難関も、蟻イチの指示で難なく突破した。
列にあきた子ども達も、後ろから見ている蟻ゴウにあやされながら、ピクニックのように
楽しみながら歩いた。

緑の丘に差し掛かったところで、スズメバチと会った。
「おお、やっと移動か」
突然空から現れたやつに 驚きと警戒の姿勢を見せたものもいたが、蟻ーダ、蟻イチの様子に安心してほとんど混乱は起きなかった。
「ええ。戻って大変なことが起きていましたが、そのおかげで早く移動することが纏まりました」
「これから待たせたものたちと巣を作り直さなければいけませんから急いでいます。それから天候のこと感謝してます。何とか無事に進めました」
遥か向こうを仲間が飛んでいるのを見たスズメバチは言葉を切った。
「おっと、無駄話しているほど、暇じゃないんだ。草も獲物も減ってくるからな」
蟻イチは空を見上げて雲を眺めた。
「すぐに秋ですね」
「そうよ。俺たちもそろそろ次世代のコロニー形成をしないとな。まあ生きていられたら、また何処かで会えるかもな。じゃあな」
スズメバチが飛び去るのを二匹は眺め、見送った。
「あいつも 襲撃に行くのでしょうかね…」
蟻イチは呟いた。
(そうかもしれないな)
蟻ーダは、口には出さなかったが、スズメバチの行く末を祈った。

暫く行くと、空から舞い降りるように地上に向かう美しいものが眼に留まった。
「何処に降りたのかな……」
蟻イチが呟いたのを蟻ーダは聞いた。
「蟻イチも旅立つ予定だったのではないですか?」
「あ、いや 私は……」
蟻イチは、口を閉ざした。
作品名:ありんこ探検隊 作家名:甜茶