ありんこ探検隊
「とにかく、私たちは巣穴の様子を見に行こう」
蟻ーダは、蟻イチと話をまとめた。
「あの、蟻ーダさん。私も一度巣に戻りたいのですが、この子たちを置いていくことができなくて」
「蟻ッサも心配だろな。そうだ、蟻ゴウに頼んではどうだろう。なあ蟻ゴウ?」
すでに蟻ゴウは、土のひび割れから覗いていた数匹の少年蟻たちと遊んでいた。
「蟻ゴウ、この子たちのこと頼むよ。状況を確認し、なるべく早く、移動できるように仕度して戻ってくるから」
「蟻ゴウさん、お願いできますか?」
蟻ッサの艶々した瞳に蟻ゴウの勇姿が映る。
「任せて。蟻ッサちゃんが、この子たちを守ったようにボクだって身体を張って守るよ」
「では、蟻ゴウ。行ってくる」
蟻ーダ、蟻イチ、蟻ッサの三匹は、木の葉広場を出発した。
「お兄様。こんなときにお聞きしてごめんなさい」
「なんだ?」
「本当に 蟻ニイさん、蟻サンさん、蟻ヨンさんはご無事なのですか?」
「ああ、本当に大丈夫だよ。彼らは新天地で私たちが戻るのを待っているんだ」
蟻ッサはほっとした表情を浮かべ、兄達の後を歩いた。
「蟻ッサ、今度の所もやつらにやられて荒れていた所なんだ。今頃、蟻ニイたちが巣穴の点検と修復をし始めているはずなんだ。その草原はね、日当たりもいいし、美味しそうな草木もあってね……あ、私よりも蟻ーダから聞いたほうが良かったかな?」
「何を言ってるんだ、蟻イチ」
蟻ーダは、少々照れた様子を見せたが、リーダーとしての責任感からか、巣穴に戻るまで話さなかった。
やがて、元の巣穴に戻って来た蟻ーダ、蟻イチは深く息を吐き出すと、巣穴の中に入って行った。