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ありんこ探検隊

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「いやあ、それはちょっと違う気がするけど……ま、いいか。もしも、あの木ぐらいの
太さの糸の巣があったら、カラスも捕まえられる。いやもっと見たことないくらいの…
人間が空を飛ぶくらいの鳥だって捕まるかも知れないな」
蟻イチは、得意気になって鉛筆ほどの小枝を指差しながら話した。
「わあーそんなことできたら凄いね。よくわかんないけど、ボク」
「おーい、ふたりとも忘れないでくれないかー」
二匹は、はっと宙吊りになっている蟻ーダを見た。
「すまない。じゃあ、蟻ゴウ糸に触らないように蟻ーダの足を糸から剥がすんだよ」
「わかった!絡まったら終わりだからね」
「おいおい、終わりなんて言わないでくれよー」
情けない声を出しながらも蟻ーダの目は真剣に見つめていた。
風が吹く。
糸が揺れる。
蟻ゴウが草を上る。
蟻イチが指示を出す。
「「「せえーの!」」」
ドテッ!
蟻―ダは地上に落ちたが、無事脱出できた。
「ありがとう。ありがとう。キミたちとのこの出来事はずっと忘れないよ」
「私たちもですよ。な、蟻ゴウ。さあ蟻ーダ、出発しましょう」
「ああ」
「ねえねえ、もうすぐだよ。ほら木の葉広場の木が見えるよ」
木の葉広場とは、このコロニーの会議を行う巣穴近くの穏やかな場所だ。
「どれどれ……本当だ。もうすぐだぞ。出発だ!」
蟻ーダの元気な声に二匹も大きな声で返事をし、歩き出した。

やがて、木の葉公園に差し掛かった。
だが、いつもなら大きくなった働き蟻の少年や初めての狩りに備えての勉強会が行われ
人気ならぬ、蟻気があるはずなのに……妙に静かな公園を不思議に感じたのは蟻ーダだけではなかった。
作品名:ありんこ探検隊 作家名:甜茶