ありんこ探検隊
何とか蟻ゴウの足を掴んだ蟻イチは一緒に葉の根元に落っこちた。
「痛たたたー。大丈夫か?」
「うん、ボクは大丈夫だよ。蟻イチが掴まってくれたから早く降りられたよ」
二匹は、辺りを見回した。
探すのは蟻ーダの姿。
「居た?」
「ううん、見えない」
「あっちは?」
背筋を伸ばし遠くを見渡す蟻ゴウだったが肩を落とした。
「駄目……見当たらない。どこまで行っちゃったのかな……蟻ーダ」
腕を組み考える蟻イチ。
「ボク戻って蟻ーダを探してくるよ」
背を向ける蟻ゴウを蟻イチは止めた。
「まあ待て。蟻ーダを信じよう。きっと無事でいるさ。私たちのリーダーだ。無事に決まっている。それよりも待っている仲間を助けてこそ この旅の目的。私たちは進もう」
「うん。ボク達だけで行くんだね。わかった」
蟻ゴウを元気付けるが、蟻イチの心配は大きかった。
暫く歩き、雨はやんだものの、まだ空はどこまでもどんよりと曇っていた。
「ねえ、蟻イチ」
「何でしょう?」
「蟻ッサちゃんは、蟻ーダのお嫁さんになるの?」
「いきなりなんですか?まあ、そうなるような…そうなって欲しいような…」
「本当?お兄さんとしては寂しいんじゃないの?」
「そうは言っても、本人たちのことだからね。私だってお嫁さんが欲しい…うーん」
蟻イチは、腕組をして思い描いたが、すぐに意識を変えた。
「こんな時に何ですか?蟻ゴウ。もっと皆のことを考えて…」
「皆のことを考えたから、聞いたんだよ。自分が元気に帰るつもりがないとどうなるか」
「うん、そうだね。私は、皆のもとに何が何でも帰るんだってね」
「そうだよ。ボクも帰ったら、美味しいご飯を食べるんだ!ってね」
「あはは…まあ何であれ、頑張ろう。さてさっきよりも雲が晴れてきたようだ。急ごう!」