ありんこ探検隊
「さあ、行こう。遅くなっては残ってくれたメンバーに心配をかける」
「そうですね。長老の蟻衛門ジィにも早く報告がしたいですね」
「蟻ーダは、蟻ッサちゃんに会いたいんだよねー」
蟻ゴウが、顔を覗きこむように見た。
「おほん!そんなことはないが…否定はしない」
黒い顔が何となく赤くなった。
「それにしても、気になりますね。さっきの忠告のような台詞は」
蟻イチが空を見上げる。蟻ーダも同じように見上げた。
蟻ゴウも慌てて二匹のように見上げた。
青い空が、色を変えてしまった。白く浮かんでいた雲が薄黒く広がっていた。
「だが、進まなくては!それが探検隊だ。出発だ!」
三匹は、足早に道を進んだ。
だが、天候は待ってはくれない。
「あ、降ってきたよ」
「蟻ーダ、どうしますか?このまま進みますか?それとも…」
「とりあえず、進めるところまで進もう。ここで足止めをくうわけにはいかないからね」
「蟻ーダ、ボクが先頭を歩いてあげるよ。少しは風が避けられるでしょ」
その頼もしい言葉に先頭を頼んだ。
大きな水溜りは体を繋いで歩いた。
浮かんだ葉の上に乗り、歩かず長い距離を進んだ。ツルを渡って近道もできた。
窮地に立つと、アイディアが沸いてきた。
蟻ーダだけでなく、みんなで判断して決めた。
蟻ゴウは、おなかが空いてもそれを口にすることはしなかった。
それどころか、力いっぱい働いた。
そんな時だ!
「わぁぁぁー」
大きな雨の雫が落ちてきた。
三匹の上に襲いかかろうとした瞬間、吹いた突風に三匹は飛ばされてしまった。
「わぁぁぁーわぁぁぁーわぁぁぁー」