ありんこ探検隊
「さあ、また出発だ」
「蟻ーダ」
蟻ゴウが呼んだ。
「どうした?」
「蟻ーダ…ボク…おなか空いちゃった。もう歩けなくなりそうだ」
「ぼ、僕も空いています」
珍しく蟻ヨンも言い出した。
蟻ーダはみんなの顔を見回したが、蟻ーダもそれは同じだった。
少し先に草の生えた場所が見えた。
蟻ーダたちは、とにかくそこへ行くことにした。
「蟻ーダ、あれは、アリマキ君ですよね」
蟻イチが言った。
「あーアリマキ君だぁー。アリマキ君が居るね、蟻ーダ」
蟻サンはおおいにはしゃいだ。
アリマキ君は、アブラムシ。
草の汁を吸っては、蟻たちにその分泌物を舐めさせてあげている。
いわゆる『共生』だ。
「ねえアリマキ君。ぼく、お腹空いてるんだ。甘露もらっていい?」
「どっから来たんだい?ここの草は旨いぞ。栄養がいっぱいだ」
「そうみ…たい…こしょこしょ…」お願いも腹ペコのせいか言葉にならない蟻ヨン。
「やあ、宜しく頼むよ」と蟻ニイ。
蟻ーダたちは、しばらくアリマキ君たちの傍でその液を舐めさせて貰った。
「おいしいよ。ありがとう」
「いじめるやつはいないかい?ボクが守ってあげるよ。といっても今旅の途中なんだ」
蟻ゴウは、数匹のアリマキ君から液を貰いながら話をした。
「この草原は、日当たりもいいし、美味しそうな草木があるね」
「ああ、いい場所だろ」
「うん。でももう居るんだろうな…」
親分アリマキ君が、蟻ーダに話し始めた。それは……。