ありんこ探検隊
蟻サンは、振り返り蟻ゴウっと見比べる。
一番大きな蟻ゴウが、普通に見えた。
「あなたたちの場所ですか?」
蟻ーダは穏やかにその先頭の蟻に声をかけた。
「君たちは、クロヤマアリだね。それにしては、小隊だね」
「私たちは…。ここはあなたたちの場所ですか?」
蟻ーダは、精一杯顔を持ち上げ、聞き返した。
「いや、ワシたちは、あの広場の芝生の剥けた所に巣を営んでおるのだがね」
「では、ここへは?」
「まあ、食料探しだな。いつものことだ。君たちのほうが客人のようだが」
「私たちは…」
蟻ーダは、探検隊を組んで新たな巣穴候補地を探しをしていることなどを話した。
じっと聞いていたクロオオアリは、ゆっくりと頷いた。
「私はこの隊を預かっている蟻ーダと言います。あなたは?」
「ん?ワシか?まあ名乗らんでもいいが、せっかく会ったんだから教えておくか」
「はい。ぜひ」
クロオオアリは見かけもでかいが、気持ちも大きく感じた。
「ワシは蟻オ、で蟻オオ、その次が蟻オオオ、でその次が蟻オオオオ、そして…」
「も、も、もういいです。ありがとうございました」
「ははは、冗談じゃよ」
困り顔の蟻ーダの横から蟻イチが尋ねた。
「蟻オさん、この向こうに渡るためには何処が良いのでしょう?」
蟻ーダは、改めて蟻イチの冷静さに感心した。