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ありんこ探検隊

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緑色に輝く丘が後ろへと遠ざかり、どれくらい歩いただろうか。
彼らにとっては大きな岩場のような砂利道を歩いている。

途中に大きな出来事はなかったが、あったといえば、蟻サンが冷や汗をかいた。
「春じゅう飛んでいたのかな」とやっと地に下りた綿毛の種子に近づいた時、
風に舞い上がった。
「わ!わわぁー」
蟻サンの足が綿毛に絡んでいっしょに持ち上がってしまったのだ。
振り返った蟻ニイが飛びつき蟻サンを捕まえたので大事には至らなかったのだが
大いに驚きで黒いボディが艶々と光るほど、冷や汗が出たようだ。

「蟻ーダ、この先はまだ調べのないところですよ」
蟻イチが後ろから小声で話しかけた。
「そうですね。どうしますか?引き返すほうが良いでしょうか?」
蟻ーダは、いつになく慎重だ。
あの轍のことが思い出される。
探検隊とはいえ、みんなを危険なめに遭わせたくない。
「どうされましたか?蟻ーダ。らしくないですね」
「ああ、いや…その」
「私の妹が好意を寄せているのは、いつも前向き、勇敢な蟻ーダなのですよ」
「蟻ッサ」
「そうです。私もそういう蟻ーダになら妹を任せられる。あっははは。あ、失礼」
蟻イチも妹蟻ッサのこととなると、優しい兄貴になってしまうようだ。
そこへ団体の蟻が通りかかった。
蟻ーダの探検隊は、少し後ずさりして避けた。
「何かお困りですかね」
それはそれは、頼もしい働き蟻の風貌のクロオオアリたちだった。
作品名:ありんこ探検隊 作家名:甜茶