小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
マナーモード
マナーモード
novelistID. 29058
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

忘れていた風景

INDEX|73ページ/96ページ|

次のページ前のページ
 

 身に浸みる新鮮な冷気の中での入浴は格別だった。中野が温泉に浸かっている間に、朝食が届いていた。
「おはよう。豪華な朝食ですなぁ。この一泊は冥土の土産だね」
「そんなこと云わないで。まだまだ先があるでしょ」
「そうだな。レッツポジティブシンキング!」
「そうよ。そうでなくちゃ。おとうさん」
その輝くような美里の笑顔を、これまでよりも魅力的に中野は思った。抱きしめたいような気持になっている。それをなだめるように彼は云った。
「栗ごはんがおいしいね。フランスでは栗をマロンとは云わないんだよ」
「そう?じゃあ、何っていうのよ」
「セテーニュっていうんだ。マロンはマロニエの実だから食べられない」
「すっごい!お父さん尊敬しちゃう」
「タクシーの客が少ないから、ラジオばっかり聞いてるんだよ」
「でも、一度で憶えるお父さんは半端じゃないわ。娘の誇りよ」
「叩けば埃は幾らでも出るよ」
作品名:忘れていた風景 作家名:マナーモード