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忘れていた風景

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ボディの水分も拭き取って行く。
「油絵!凄いね。そういう趣味は必要だね」
「年金生活になったら本格的にやろうと思ってるんだけどね」
「俺も油絵やってみようかな。昔から嫌いじゃあなかったんだ」
「六十五歳から始めたばあさんが、世界的に有名な画家になったという話もあるからね、やらないよりはやったほうがいいね」
フロアマットを取って来て後部座席の足元に置いた。ふたり共洗車が終わった。眼鏡の男は自転車を取りに行き、戻ってから云った。
「じゃあ、そのうち教えてもらおうかな」
「絵なんてね、好き勝手に描けばいいんだから、自己満足できればそれでいいんだと思うよ」
「そうだね。でも、いいじゃない。基本だけ教えてよ」
「教えることは勉強になるっていうから、そのうちに油絵教室やってみようかな」
作品名:忘れていた風景 作家名:マナーモード