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忘れていた風景

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「ありごとうございました。竹田の子守唄は、実は赤い鳥のオリジナルではありません。いわゆる伝承歌として、赤い鳥以前から京都ほか関西のシンガーや合唱団の間で歌われていた作品です。竹田とはどこか?赤い鳥がこの子守唄を有名にしてからというもの、歌の故郷に関して話題になっていました。竹田の子守唄の本当の故郷は、京都の伏見区、竹田というところです。そこの一部に被差別部落があります。この被差別部落に生まれた歌だったため、
竹田の子守唄は、テレビやラジオなどから徐々に排除されることになってしまいました。そういう事実を知ってもらいたかったので、ちょっとお話をさせて頂きました」
少しだけ拍手をされながら、中野は席に戻った。
「今でも色々な差別問題がたくさんある筈ですよ。二十一世紀の課題として、何とか解決するべきことです」
 カリスマ氏はやや浮かない顔で、そう云った。
 にぎやかなイントロが始まった。笑顔のカノンさんが立ちあがって云った。
「さて、おおとりに関西パワーの真髄を歌いたいと思います」
作品名:忘れていた風景 作家名:マナーモード