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遠距離恋愛のその先は…

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 今、懐かしいカフェの前に立って、優美は不思議な感慨に打たれていた。
 一年前のあの日、ここで雅也からの別れの言葉を聞いたのだ。
 そして今日は……。今日は一体どんな言葉を聞くのだろう。
 昨夜遅くに雅也から届いた一通のメール。そこには、
「元気ですか? もう一度会って話がしたいんだ。明日、一年前のあの場所で、あの時と同じ時間に待っている。優美が来るまで待っているから」と書かれてあった。
 優美は散々迷った挙句、結局返事はしなかった。だが、やはり来てしまった。そして店の前で立ち尽くすこと10分。果たして雅也はそこに居るのだろうか。少し震える手で、優美はそっとドアを引いた。

 それから約二時間後、二人が揃って店から出てきた時、優美は雅也の腕をとり、その左手の薬指には、ちっちゃいながらもダイヤのリングがキラキラと誇らしげに光っていた。 そして少し潤んだ瞳と上気した頬が、その幸せを十分に物語っていた。

 人と人との出逢いと別れは、一体どこでクロスするようになっているのだろう。
 おそらくそれは、目には見えない交差点を、ほんの一歩踏み出した瞬間に訪れているのかもしれない。
 これからの人生、優美は雅也とはぐれないように、いつも手を繋いで交差点に踏み出そう。そう思ったのだった。