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RED+DATE+BOOK04

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おそらく・・・ってのは肯定?

疑問の眼差しを投げれば可奈人は眉をよせた。

「付き合っているという噂はあります。いつも一緒にいるからかもしれませんが・・・。」

「噂か・・・。」

噂なんて信用できるものではない。それは身をもって知っている。

「此処って一緒にいると付き合うとかになるのか?仲が良いと付き合うって・・・。それって恋人って事だよな?」

でも前に楓は好きな人はいないって言ってた。

じゃあ周りが只そう思っているってことなのか?

「付き合うって事はそのままの意味です。異性だろうが同性だろうが付き合うって言うのは恋人同士って事です。だけど・・・綾瀬君と青木君は・・・ありえない。」

「え?」

「好き合ってはいるかもしれませんがありえないんです。」

「なんで?」

ありえないってそんなはっきり・・・。

可奈人はそれに説明し難い様な顔をした。

「亮くんは京様をご存知ですか?篠宮京様です。」

「あ?ああ。会ったことはねーけど。」

京さま?

なんでこの会話で京さまが出てくるんだ?

「彼等は京様が眼にかけてらっしゃいますからありえないんです。」

ちょっと待った。飽和になりそう飽和に・・・。

「眼にかける?・・・わかんねぇ。なんでそのきょーさまが出てくるのかわかんねぇ。とにかく春と楓は付き合ってはないって事なんだよな?」

「ええ。」

「じゃなんできょー様が出てくんだよ?」

可奈人は一層難しそうな顔をした。

「僕・・・だけの言葉を鵜呑みにしないで下さい。」

「うん。」




「京様は・・・この学園の・・・えーっと・・・。」

何やら言葉を選んでいるようだ。

前に楓達はなんていってたっけ?

「偉い奴なんだろ?んでカリスマで・・・学校ぎゅーじってるんだよな。」

「牛耳るなんて・・・。」

「で?」

先を促せば可奈人はうう・・・と悩んだようだが意を決したような表情に変わった。

「京様の眼にかけている方は恋人は作れません。恋人・・・だけじゃなくて友達も、生活さえ規制されます。」

「・・・・・・・・・は?」

「分かりましたか?」

「いや全然。いや、意味は分かった。けど・・・。」

恋人も友達も生活も規制される?

どういう事だ?

「多分・・・亮くんには理解しがたいことだとおもいますけど事実です。」

「・・・・・・・・・で、楓と春は眼をかけられてる?」

「はい。だから彼等が付き合うことはないです。京様がお許しにならない限りないことです。」

「それって基本的人権とか表現の自由とかえーっとえーっと・・・そんなのって人にどうこう言われる事じゃねぇだろ!!?」

そういえば可奈人は困ったような顔をした。

「亮くんには理解しがたいことだと思います。」

そして悲しそうな顔で微笑んだのだ。

「っ・・・。」

じゃあ・・・じゃあ・・・楓と春が抱き合ってたのは?

もしかして・・・

もしかして!!!!!

「現代版ロミジュリかっっ!!!?」

「は?」

「そうだよな・・・!!そうだよな!!その・・・きょーさまって言う自分が法律みたいな奴がいない今こそランデブーの時期なんだな!!それにバカンスなんて身体も心も開放へ向かう・・・。一時の恋人同士の・・・」

あれ?

そうなると・・・いつも春と楓と一緒にいる俺って邪魔者?

・・・・・・・・・・・・。

NOOOOOO!!!!!

「亮くん・・・大丈夫ですか?」

「大丈夫・・・だけど・・・なんか嫌な気持ちだ。」

そう言えば可奈人は眉を寄せて笑った。

「妬きましたか?」

「え?」


:::::::::::::



「綾瀬君か青木君に・・・。」

妬く?ヤキモチって事か?

「僕は、妬きました。あの二人に。」

「かな・・・と?」

「もちろん・・・葵さんにも。亮くんの好きな人はいないのですか?」

「う・・・うん。」

咄嗟に浮かんだ名前には蓋をした。

「そうですか・・・。」

何か思うことがあったのだろうか可奈人は微笑んだ。

「ご飯食べ行きませんか?そろそろ時間な筈です。」

既に外は暗くなり始めている。

俺はそのまま部屋を出た。








「あれ?何か少なくねぇか?」

夕食はどこで食べてもいいのだがレストランは篠宮の学生には無料だ。

班行動なんてあってないようなもので朝意外は全てフリーである。

むしろこれからのスケジュールは班で行動するなんて一日目の朝のみじゃないのか?というほどだ。

「・・・そうですね。」

可奈人は何か理解しているのか頷く。

「何で?何でこんなに少ないんだ?」

「えーっと・・・。」

言いよどむ彼は些か頬を赤くしながら答えた。

「これからもう自由行動ですよね・・・だから。」

「部屋にこもってセックスしてんねん。」

「ぎゃ!!!」

直ぐ後ろで聞こえた関西弁。

「っ・・・ミヤ先輩っっ!!驚かさないで下さいっ!!」

「お前が勝手に驚いただけやん。」

そりゃそうなんだけど・・・。

「で?ミヤ先輩は相手をしてくれる人もいないという可哀想な人なんですか?」

「お前ってほんま可愛くないな!俺は聡と待ち合わせ!それより・・・」

ぬっと宮が亮の頭に向かって手をかざしたかと思うとそれは垂直に下に降りてきた。

「わっ!!」

がしっと頭をつかまれてそのまま乱暴に頭を揺さぶられる。

「お前楓ちゃんに何したねん!!?ああ!?こっちは色々大変だったんだよ!!」

「ちょ・・・大変って・・・?」

「四六時中心此処にあらずな感じで木野下と青木が殆ど被害被ってたけどな。」

「そうなんだ・・・。」

だからじゅんぺーは疲れてたのか?



:::::::::::::
なんだかげっそりしてたもんな・・・。

「で?どうにかしたんやろ?」

「それが・・・。でも春がいるんだろ?じゃあ俺、いない方がいいじゃん?」

そういえば宮先輩は眉を寄せてはぁ?という顔をした。

「どないして?」

「だって春と楓はランデブー真っ最中なんすよ。」

「は?」

「俺が楓と話したいのは山々なんだけど流石に二人の時間を邪魔するのはちょっと・・・。」

「おい。お前何言うとんの?何、コイツ。変なモンでも食った?」

そして宮先輩は可奈人に首を傾げる。

「あの・・・ちょっと勘違いしてるみたい・・・です。多分。」

その言葉に宮先輩は頷くと俺を見据えて言い放った。

「お前がどんな勘違いしてようが別にええけど楓ちゃんとは元の仲にならんといかん。」

「それは・・・わかってるけど・・・。」

「ほら、丁度いい。来たで。」

本当にばっちりのタイミングでレストランの入り口に現れた春と楓。

「うわ!」

俺は宮先輩に押し出されるように前に出た。

「あ・・・亮。」

楓が所在なさげに目を巡らせる。

「あ〜・・・えっと・・・。」

心の準備も無しでイキナリっつーのは心臓に悪い。

自分の顔に血液が登っていくのがわかる。

「え〜・・・。」

単語すら出ない俺の口。脳内は何か言え何か言えと急かしている。

何を言う?何を言いたいんだ?
作品名:RED+DATE+BOOK04 作家名:笹色紅