RED+DATE+BOOK04
心外だ!という意味が含まれた叫び声。
ナイスハモリだ・・・と亮は思った。
「うーん・・・でも俺も女装とか別に抵抗ないし・・・写真も撮られんの嫌いじゃないよ。」
「決まりだ★」
ネッ♪と白湯と棗が手を合わせる。
「じゃあそれで。んで、これがその差出人ね。」
白湯はどこからともなくまたプリントを差し出した。
「え?」
「もう調べちゃった☆ソースはちょっといえないんだけど・・・俺等の情報網は99%当たってるよん。」
ペラ・・・と捲ったプリントには
「ふく・・・かいちょう?」
昼に自分を助けてくれた銀髪の男。
ご丁寧に数枚の写真もつけてくれたらしい。
写ってたのは篠宮学園生徒副会長。
加賀雅之だ。
「差出人は加賀雅之で間違いないでしょう。後信じるか信じないかは君次第だよ。」
戸惑いが多い。
彼と自分は何か接点があっただろうか?
接点、はあったかもしれない。
だけど、こんな事をされる覚えはない。
:::::::::::
あ。
「じゅんぺ!そういえばふくかいちょーは俺のところ篠宮亮って言ったんだ!」
「は?」
「だから?え?何で?それって何か問題?」
わかんねぇぇ!!!
え?副会長と関係あるわけ?
「ちょ・・・ちょっと待ってじゃあ本当だったの?」
棗と白湯が慌てている。
「姫が・・・篠宮の家にいるって。」
「あ?うん。それが?」
「!!!!!!」
絶句そして驚愕。
二人を表すのに一番丁度いい表現だ。
「それが?って!それどころじゃないよっ!!」
「別にお前等がきょー様をどう思ってようが俺には関係ないんだよ。じゅんぺ?何か問題あるかな?」
「いや・・・加賀先輩は京様派じゃ無かったと思う・・・。」
「へ?じゃあ・・・なんで?」
聞いても純平は首を傾げるだけだ。
「ちょ・・・ちょっといいですか?」
キュアホワイトが控えめに声をかける。
「えっと・・・白湯さんだっけ?」
「姫が僕の名前をっっ!!ナツ!今の録音は?」
「ばっちり☆入ったときから回してるよ!ってゆーか俺の名前も呼んで!!出来れば上目使いでなつめって甘く!!」
「な・・・なつめ?」
「う!!なにこの無垢な生き物!!っ・・・お、お兄さんがイイ事教えてあげようか?」
スルッと腰に手を回される。
「俺が教えてほしいのは何か俺ふくかいちょーの恨み買ったっけ?って事。」
「うんうん。バッチリ任せて☆優しくするよ。」
「3Pでよろしく。純君、寝室借りるね?」
棗とは反対の方に白湯が立ち同じように腰に手を回す。
「待てや。」
すかさず真ん中にいる草色の髪を純平が掴んだ。
「え?いきなり4Pは姫が辛いんじゃない?」
「姫体力ある?」
「は?体力は自信あるけど・・・。」
「お前ももっと考えて発言しろこの草っ!」
草とか久しぶりに聞いたよ純平。
「大体話の主題がずれてんだよアホ!で?全然お前に心当たりは無いんだな?」
「うん。」
白湯と棗が小さく同時にチッと舌打ちしたのは二人には聞こえなかったようだ。
「ちょーっと待って!!!俺たち物凄く京様と姫の関係知りたいんだけど〜!!」
「うるせぇ!!」
イライラした様子で純平が怒鳴る。
「純君は知ってるんだね!!?」
「だからうるせぇ!今はその話題は関係ねぇんだよ!!」
「従兄弟だよ。従兄弟。」
今日はよく時間が止まる。
過去何度か話したとおりに説明すれば皆一様なリアクションだ。
純平はブスッとしているがその理由がよく分からない。
「じゅんぺ?眉寄ってる。」
細すぎて短すぎる眉の間をぐぃっと押してやればパシンと手首を掴まれた。
「じゅんぺ?」
「お前の事だぞ。」
ギッて睨んだってそんな・・・。
「わかってるけど・・・。」
だって心当たりなんて全然無いんだよ。
「でもさ〜おかしいよね〜?」
キュアブラックがいつの間にか右手にジュースを持ちながら首を傾げる。
「うん。おかしいよね?」
キュアホワイトも同じように首を傾げる。
「何が?」
習って首を傾げてみる。
「時期だよ。」
「おかしいよね。コレ終わったら夏休みなのに。」
「へ?」
「だから、もし嫌がらせでやるなら・・・僕だったら休み明けてからかな。そういうゴシップとかって休み入ると直ぐ忘れちゃうじゃん。新学期で覚えてて嫌がらせやる人は少ないと思う。」
「そう!そうなんだよね〜!嫌がらせだったら待つよね!」
随分楽しそうだなお前等。
「じゃあ・・・嫌がらせが目的じゃないとか?」
う〜ん?
ますます分からないですが?
「第一加賀先輩って何考えてるかよく分からないしね〜。」
「そうだね〜。」
そうなの?って純平に尋ねたら分からないのポーズ。
未だ眉間に皺を寄せている。
「俺はあの人と関わった事ないから。」
「純君なんだかんだ行って世渡り上手だしね。」
「そうそう!学校では目立つくせに京様からも逃れられたしね!」
「へー。」
純平ってそうなんだ?
苦労人だと思ってたけど。
「ま、そういう事なら嫌がらせもあんまねーって事だよな!」
光りが見えてきたんじゃないですか?
みんな夏休みで忘れればいい!
「今日・・・っていってもあと少ししかないけど、後明日頑張ればね。」
「え?もうそんな時間?」
携帯を見ればもう23:30を回っている。
「そろそろ僕等も戻らなくちゃね〜。」
「そうだね。そろそろ限界かもね。」
「お前・・・まさか・・・。」
「うん。挿れたまま放置してきちゃったから☆」
棗の一言で純平は双子を部屋から押し出す。
「えっと・・・ありがとうなプリキュア!!」
「お休み姫!」
「僕等の夢を見てね☆」
嵐のように来た彼等は同じように去っていった。
「はー。」
純平はぐったりとソファーに沈み込んだ。
「大丈夫じゅんぺー?」
上から覗き込めば再びため息を吐かれる。
「何だよ?人の顔見てため息吐いて。」
そりゃあ、俺は純平に迷惑かけてるかもしれないけどさ。
「撮影会・・・の時は言えよ。」
「ん?」
「俺も行く。」
「え?コスプレ趣味あんの?」
「そんなわけあるか。」
ジロリと睨まれたから思わず笑ってしまった。
「うん。ありがと純平。」
ありがとう。
本当にありがとう。
「そろそろ俺は寝るぞ。」
お前は?と視線で促されては、と思い出す。
「可奈人・・・どうしよう。」
本当は自分の部屋に戻ったほうがいいとは分かっているのだが、顔も合わせ辛い。
「可奈人ってお前と同室の?」
「うん。」
しかし連絡さえしないというのはあまりにも・・・。
純平がいい、といっているのだから純平の部屋に泊まることに遠慮はないが出来ることだったら何も無い顔をして自分の部屋に帰りたい。
充電器だって無いし・・・。
だが、いまさら戻って何を言ってどうやってあの空間にいたらいいのかも分からない。
亮は自分を好きだという可奈人を否定したのだ。
好きにならないで、といった。
混乱していたからといってふさわしい言葉ではなかった。
作品名:RED+DATE+BOOK04 作家名:笹色紅