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RED+DATE+BOOK04

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『あ?怒った?でも無料ではやりたくないな〜。ねぇ白湯?』

『そうそう。別に面倒くさい事じゃないんだけど。僕等は無料では引き受けたくないので。』

「……まぁ。言うと思ったけど…。」

雲行きが怪しくなったのを感じたのか亮が自分を指さしている。

「?」

「俺の事だから俺がしゃべるっ。」

は?と思ったときにはもう受話器は亮の手に。

「もしもし?俺、一年二組の齋藤亮と申しますが。」

『……………』

向こう側の空気が凍った気がしたが気にしない。

純平が返せって手を出すけどそれを避けて話し続けた。

「さっきのメール…見ただろ?あれの出所知りたいんだ。絶対にあんた等の事は言わないからさ!教えてよ!」




「かせっ!」

「あ。」

今度はバッと受話器を純平に取られてしまった。

「あー。白湯?棗?」

『…っうっそーうそうそうそうそうそ!!!!!ええええ???純君の部屋にいんの?今の本当に姫!?』

『棗、今の録音した?した?』

『そんな時間なかったよ!ちょっと純ちゃん!もう一回!もう一回だけ代わって!!』

電話の向こうの二人は混乱しているようだ。

「で?やってくれるって?」

『やる…!けどやっぱり交換条件!』

「なんだよ…?」

『あー…どうしよ!?白湯!!何してもらおう!?』

「亮、お前交換条件だされてっけど。いいか?」

一応こういう事は言っておかなければならない。

「ものによるけど…。」

亮は難しい顔をしたがコクリと頷いた。

「おい。ものによるってよ。」

『うんうんうん!』

『純君!もうちょっとでそっち行くから!』

「はっ?」

『それいいね白湯!』

『そうなりゃ準備準備………!』

「来なくていい!来なくて!!」

『じゃあね純ちゃん!待っててね姫!』

そして電話は切られた。





「来るって?」

「ああ・・・。」

「俺、何すればいいのかな?」

軽く首を傾げる亮に純平は罪悪感を感じていた。

やっぱり・・・これは失敗だったか。

本当に差出人だけ分かったとしてもどうすることもできないのだ。

事実は変わらないだろうし噂は広がる。

そしてこれから起こるであろう嫌がらせも。

何よりあの変態二名に関わらせてしまったことに。

「わかんねぇけど、嫌なら断れ。」

「うん・・・だけど、じゅんぺーって面白い友達いるんだな!」

その一言に眩暈。

「一組だっけ?どんなやつなの?」

変態。

この一言がいえない。

「なんつーか・・・個性的?」

物凄くよく言えば個性的だ。

「個性的か〜。」

う・・・なんだか狼に羊を差し出す気分になってきた。




「気をつけろよ。」

「うん。」

絶対分かってない笑顔で亮は頷いた。




コンコン・・・

「あ!来た。」

数十分待つとノックの音。

「純ちゃ〜ん!きたよ〜!」

くぐもった声は棗のものだ。

「いいか?開けるぞ。」

「う、うん。」

なんだか純平が慎重だから亮も思わず息を呑む。

ガチャ・・・

フワリと黒と白のスカートが舞う。

片や黒をベースにした服とピンクのライン、スカートの中は白いレース。

片や白をベースにした服と水色のライン、こっちは黒いのと違ってフェミニンだ。

その二人はタッと背中合わせになると足を踏み出した。

「光の使者・キュアブラック!」

「光の使者・キュアホワイト!」

「闇の力の僕たちよ!」

「とっととおウチにかえりなさい!!」

しかしポーズは胸の前で腕を組むというセーラームーンのポーズだ。

「は・・・。」

亮は固まった。

純平はとっさにドアを閉めた。

バタン。

数秒の沈黙。

「よし、亮!寝るぞ。同室の奴は違う部屋行ってるからベット使え・・・。」

「え・・・?あ・・・?」

何か言おうかと考えていると瞬時にドアがドンドン叩かれた。

「純ちゃ〜ん!!入れてよぅ!!」

「純くーん!!はやく生見せて。」

「じゅ・・・じゅんぺ・・・。」

「・・・お前が決めろよ。」

純平はため息をついてドアを見た。

亮はドアノブに手をかける。

外からは純平を呼ぶ声が聞こえていた。

「あ・・・開けるな。」

自分に言い聞かせて亮はドアを開けた。




::::::::::::



「どーも!プリキュアだとブラック担当、だけど天真爛漫じゃない松橋棗(マツバシカナメ)と」

「ホワイト担当。まぁ、真面目なのは否定しないよ、松橋白湯(マツバシサユ)です。あ。別に女装は趣味じゃないよ?」

同じ顔、同じ声で目の前の二人はそう言った。

「ふ・・・双子なの?」

「そう。生まれた日は一緒。生まれた親も一緒。父親も母親も一緒の一卵性双生児だよ。ところで写真とっていい?」

ホワイト担当な白湯が片手コンパクトサイズのデジタルカメラを手にしている。

「ん〜!何のシャンプー使ってるの?もうお風呂は入った後だよね〜。目が腫れてるね。ちゃんと冷やさないと明日辛いよ〜。」

ブラック担当な棗は亮の髪をくんくんと嗅いだ後亮の顔を覗き込んで目の下をスルッと撫でた。

「あ・・・お、俺は・・・。」

「齋藤亮君!俺たちの中じゃ姫!ん〜VVやっぱり実物だと可愛いな〜!!本当に目が綺麗な緑色なんだね〜!!それも眼球が大きい!」

「パッチリ二重で目は少々つりあがってる。睫は長い。肌はどっちかって言うとピンク色。髪はふわふわの猫っ毛。本物だよ。」

「は・・・姫?」

「うわ〜!肌ツルツル!!そしてしっとり!赤ちゃん肌だよ白湯!!」

棗はさわさわと亮の頬を撫でる。

「身長は・・・うん。学校のデータベースと一致。写真いいかな?」

「しゃ・・・写真?え?」

「そこまでだ。」

純平は棗と白湯の間に入って亮を自分の後ろに回した。

亮はえっと・・・と少々考えた後おずおずと純平の背中からひょっこり顔をだした。

::::::::::::
「ずるい!!純ちゃん!!!」

「てめぇ等・・・何しに来たんだ。ほら、早いところ条件言えよ。」

シッシッと純平は片手で二人を牽制する。

「そう急かさなくっても・・・。僕と棗は純君みたいにいつも姫と一緒にいられるわけじゃないんだからさ〜。」

「そうだよそうだよっ!!」

「じゃあ、出て行け。」

「棗、さっき考えたの出して。」

「うぃー★」

どこから出したのか、棗の手には一枚のプリント。

「じゃあ、読むね。」

白湯はそれを手に取り純平の後ろで様子を伺っている亮ににっこり微笑んだ。

「僕等が姫と春くんのキス写を回した人を断定するで、僕等が姫に出す条件は・・・。」

亮は姫って俺?と純平に目で聞く、純平はそれに頷いた。

「撮影会を希望しまーす!!!」

「は?」

撮影会?

「何それ?」

「詳しく言えば、僕たちが指定した衣装を着てポーズをとってもらえばいいよ。」

「モデルになれってこと?」

「簡単に言えばそういう事★」

「それくらいなら・・・」

「ちょっと待て!」

純平はひょっこり出ている緑の頭をつかんだ。

「よく考えろよ!こんなかっこしてる変態双子なんだぞ!!」

「「変態!?」」
作品名:RED+DATE+BOOK04 作家名:笹色紅