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RED+DATE+BOOK04

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「お前、また嫌がらせ受けるから多分。」

「は?」

「篠宮京を崇拝している奴らが黙ってないと思う。」

「何で?」

「青木と綾瀬はあいつの者だ。」

「は?」

え?篠宮京ってきょー様だよな?

で、春と楓が・・・何?

「いいか、ここの学校は権力が物をいうって前に言ったよな?」

「うん。」

「だから青木と綾瀬は逆らえない。」

「逆らえない・・・。」

「青木と綾瀬はアイツの物。」

「はい?」

ちょ・・・!!

ちょっと待てよ!

違うだろ?それ。

「いいから聞け。で、今は京さまはいねーけど、京派は黙ってないだろうって事だ。分かったか?」

「あー・・・えーっとはい。わかったっちゃ分かったけど・・・。」

つまり、俺とのキスしている画像なんて出回っちゃったから春の親衛隊だけじゃなくて京様派も俺を敵視って事だよな?

「お前の常識で考えんなよ。」

だから・・・

だから前も?

「うん。分かった!でも、そんなんどうしようもねぇんだろ?」

「・・・・・・・・・。」

「だから、俺はいい。だけど、俺のせいで春が嫌な思いすんのは嫌だ。」

「だからお前は馬鹿って言うんだよ。」

純平はくしゃくしゃと俺の頭を撫でて笑った。


::::::::::


「でも・・・差出人分かるって本当?」

今更差出人が分かったってどうなるわけでもないのだけれど、やった奴がわかったのなら一発くらいはぶん殴ってやりたい。

そしてめいよきそんだ!とかじんけんしんがいだ!とか怒鳴り散らしてやりたい。

そう考える亮の公民の成績は良いとは言えない。

「あ・・・ああ。多分・・・。」

自分からふったくせに歯切れの悪い回答だ。

「じゃあ、教えてよ。」

純平はまずった・・・という顔になり亮から顔をそらす。

しかし亮はじっと純平の顔を見つめる。

数秒、負けたというように大きな溜め息を吐いた。

「そういうの詳しい奴がいるんだよ。ハッキング・・・とか。多分アイツ等なら分かると思うんだけど・・・。」

アイツ等、って事は複数か。

「二組のやつ?」

クラスメートならもう全員の顔も名前も(正しくはファーストネームか苗字どちらか)は覚えた。

「いや、一組。」

「じゅんぺーの友達?」

「中等部の時に一緒だったクラスの奴だ。」

「ふーん・・・。」

亮は些か考えた後に純平を見上げた。

「俺・・・知りたいかも。」

「・・・分かった。正し、期待はすんなよ。」

「うん!」

携帯を耳に当てる純平に亮は思いっきり頷いた。






篠宮学園生徒が宿泊しているホテル。

308号室。

ざんこーくなてんしのてぇーぜ・・・

流れた音は新世紀エヴァンゲリオンのオープニングテーマ。

それも着ウタロングバージョンだ。

序に言うと綾波が歌っているものだったりする。

着信を告げる携帯が机の上で音楽を奏でている。

「ナツー。レイちゃんが呼んでるよー。」

ポイッとギシギシしならせているベットに携帯を投げる。

「ちょっと・・・いいの〜?声入っちゃうんだけど?」

「いいよ。そこカットするし。」

ベットをギシギシと言わせている人物は粘ついている右手をシーツにこすり付けると自分の携帯を開いた。

「へー珍しい。」

『木野下純平』と表示されたディスプレイに耳をつけた。







『もっしもー純ちゃーん??久しぶり〜♪どうしたの?』

電話先のハイテンションに些か閉口。

「棗か……?」

媒介を間に入れると声が違って聞こえるのはどうしてだろう。

純平は期待しながら見上げる亮にチラと眼を配らせて相手の名前を尋ねた。

『そう、そう!愛と正義の美少年戦士なつー……『あん』

また、馬鹿な事をと思っていたが本人以外の声が聞こえて思考をそらされた。

「取り込み中か?だったら白湯に代わってくれ。いるんだろ?」

『白湯はいるんだけど、取り込み中っていうかー……『ぐちゅ……あっあっ!』

純平は嫌な予感がして通話のボタンに指を当てた。

『ハメ撮りちゅ……』

ブッ

そして迷わず親指で通話ボタンを押した。

「え?どうした?」

成り行きを見守っていた亮はその動作に驚いた。

「やっぱ無理だった。」

そういった純平の顔色は呆れの色一色だ

「そっか……。」

亮はふーんと唇を尖らしたがそんなに残念がっても無い様子でパッとソファーから立ち上がる。

そこにピピピピという電子音が響いた。

亮と純平はパッと音のなった方に目を向ける。

壁に沿っておいてあるテーブルの上にある電話。

何処の部屋にも備えてある電話だ。

「出ていい?」

どうせフロントのサービスだろうと思って頷いたのがいけなかった。

受話器を耳に当てた亮が一瞬固まったからだ。

そして戸惑ったように純平を振り返った。

「なんか……やばそうな人なんだけど……。」

「かせっ!」

悪い予感は当たるものだ。

受話器から聞こえてきた声は先ほどと同じもの。

『あっれ〜?今の声純ちゃんじゃないよね〜?君は誰〜?』

「棗……。」

『あ!今度は純ちゃんじゃ〜ん!ねー今の誰?誰?純ちゃんのスイート??』

「なんでお前……この電話!?」

『白湯がやってくれたよ〜ん★』

「……………。」

ダメだ。コイツと喋ってるとやっぱり疲れる。

『で?純ちゃんどったの?珍しいじゃん?』

「お前の用事は終わったのか?」

『あ?うん。今のところバイブ突っ込んでるから平気〜♪声聞く?』

心なしか遠くの方で艶かしい声が聞こえる。

「止めろ。お前、フリーアドレスから来たメールの出所わかるか?」

『あ?姫の事?』



::::::::::::


「は?」

『姫!!齋藤亮君!さっきのメール見たぁ?』

「あ…ああ。」

純平は少々引きつった顔で亮を見る。

亮は誰?と首を傾げたがそれに首を振った。

『まさか春君とのキス写が出回るとはね〜!!可哀想だよね姫!』

「姫って………。」

『僕と白湯しか呼んでないんだけどさ!姫っぽくない?いや!姫なんて名称よりはがさつだと思うよ。だけど女王ってな感じでもないからさ〜!姫は可愛い服いっぱい似合うと思うんだよね!!だから姫!』

「いや…それはどうでもいい。」

『どうでもいいって酷いな〜!白湯ぅ〜純ちゃんが僕等の姫をどうでもいいなんて言うよぉ!』

『聞こえてたよ。スピーカーホンだから。それは聞き捨てならないねぇ?純君は僕等がどのくらい姫を好きかわかってないよ。』

聞こえてきたのは先ほどとは違う声だ。

「白湯……。」

純平は痛くなってきたこめかみを思わず押さえた。

『純君は姫と友達なんだよね〜?いいな〜!!近くで見ると可愛いでしょう?ねぇ!何の香りがするのかな?シャンプーは?』

「ストップ。お前等俺の話聞く気ねぇな。」

『そんな事ないよぉ〜!で?あのメールの出所しりたいんでしょ?純ちゃん友達想い〜♪』

「じゃあ、やってくれんの?」

その声に傍らにいた亮がの目がキラキラっときらめいた。

「わかるって?」

小さく頷くとガッツポーズで燃えている。

『やるはずないじゃ〜ん!』

「………。」
作品名:RED+DATE+BOOK04 作家名:笹色紅