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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回】雨上がり

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怯える二人を背にやって操が白い布の人物をにらむ
「栄野京助」
白い布の人物に名前を呼ばれ京助がびくっと身をすくませた
「京助に何の用だ」
「時がきたから迎えに来た」
「時ってなんだよ」
「お前には関係ない」
白い布の人物と操の問答がたんたんと続く
操の服をぎゅっと握りしめた京助がちらっと柴田を見上げた
柴田がそれに気付き眉を下げた笑顔を京助に向け
口パクで何かを言ってきた

ごめん

口の動きが三言を綴る
柴田の口は確かにそう言っていた
「なまいき…僕様に歯向かんだ宝珠もないのに弱いのに」
ふんっと鼻で笑った白い布の人物が一歩操に近づくと操が一歩下がる
「僕様に歯向かう…どうして?何もなくて何もできないのに」
更に白い布の人物が歩み寄ると操もそれに合わせるように後ろに下がった
「逃げれば? ほら捕まえた」
操の肩を白い布の人物がつかむ
「怖くないの?」
怯える様子も逃げる動作もしない操に白い布の人物がきいた
「ああ」
操が頷く
「どうして?」
「さぁね」
「どうして?」
「わからんっつて」
操の肩を掴んだままどうしてを繰り返しそれに操が淡々と返した
「どうして…どうしてどうし…てなんだよ」
「っ…」
ギリッと操の肩に白い布の人物の指が食い込み操の顔が歪む
「皆怖がるのにどうしてお前は怖くない? 僕様を見ているのにどうして怖がらない!!」
操の白いシャツに赤い染みが浮き出てきた
「っ…やめろっ!!」
「きょ…」
ドンッと京助が白い布の人物を突き飛ばす
白い布の人物がよろけると柴田がその体を支えた
「操ちゃんにさわるなばぁかっ!!」
操の前に立った京助が白い布の人物にむかい声を張り上げた
「京助…」
肩を押さえた操が京助を見ると小さな体が震えている
「…弱いくせに…」
ピリッと何か電気が走るような音がした
「弱いくせに怖いくせに」

パチッパチパチッ

増えていく音
「弱いなら怖いならどうして僕様に歯向かう」
「上…」
柴田が白い布の人物を上と呼んだ
上と呼ばれた白い布の人物が柴田の手を払いのけ京助の喉を掴み力を込める
「か…はっ」
「京助!!」
「うるさいッ!!」
バチィッと何かが弾けて操が尻餅をついた
「きゃあ!!」
操の後ろに庇われていた子も一緒に倒れる
「上!」
更に力を入れる上の腕を柴田が掴む
「うるさいッ!!」
「京助っ!!」
操が上の腕にしがみついた
「放せんのやろ…っ」
ぐぎぎぎっと操の手が京助の首を掴む上の手を引き剥がそうとする
上の手は操とそう変わらない大きさで力もそう変わらないらしく徐々に上の指が京助の首から剥がされていった