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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回】雨上がり

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「おやおや…天才的頭脳優秀なお人形の鳥倶婆迦ちゃんには誤魔化しがきかないんだったねぇ…」
コツコツと足音がして現れたのは真っ赤な口紅を塗った唇で弧を描きうす笑う指徳
「あっ!! あん時の…ッ!!」
京助が指徳を指差して叫ぶ
緊那羅もぐっと唇をかんだまま指徳を睨んだ
中島と南が京助と指徳の間をさえぎるように立つと京助を後ろへを押す
「な…;」
少しよろけた京助が中島の服をつかんだ
「か弱いから俺、でもまぁ何とかなるかと」
「は?」
「やるときゃ中学生だってやるんだって」
中島のはだしの足が少し前に出されると京助がハッとして二人の肩をつかんで引っ張っる
「お前らは関係ねぇッ;」
しりもちをついた中島と南の前にこんどは京助が立った
「京助!!」
緊那羅が悠助をおろして駆け出すと一瞬で摩訶不思議服に変わりそのまま京助の隣に並び武器笛を構える
「慧喜!」
「悠!!;」
その隙に慧喜のところに行こうとした悠助の腕を南がつかんだ
「離して!! 南いやだッ!! はなしてーッ!!」
「アカンッ; それだけは聞けないッ!!;」
暴れる悠助を羽交い絞めにした南が肘で顔を押されながらもしっかりと悠助を抑える
「おやおや…そんなにこの慧喜が大事なんだ」
「そうだよッ!! だって慧喜は僕の子供産んでくれるんだッ!! だから慧喜は大事なんだッ!!」
「子供…ねぇ…ククク…それは大事だね」
指徳が倒れていた慧喜の髪をつかんで引っ張りあげた
「う…」
小さく慧喜が声を上げる
「慧喜!! 慧喜ッ!!!! 大丈!? 慧喜ッ!!!」
「いてていていてッ;」
悠助が暴れるたびに南に蹴りと肘鉄が入るのを中島がまた悠助を抱き上げてとめた
「指徳…慧喜を返すっちゃ」
緊那羅の髪飾りがふわっと靡いて京助の腕に触れる
その飾りを京助がつかんだ
「きょ…」
くいっと引っ張られて少し驚いた緊那羅の横を京助がゆっくり通り過ぎて指徳に近づく
「俺ばっか見せ場ねぇじゃん」
そして立ち止まって振り返ると口の端を上げて笑った
その時また聞こえた爆音は今度は庭のほうから
「俺だって…」
京助が指徳の方に顔を向けるとゆっくりと顔を上げた
「守られてばっかじゃ格好悪くてしゃぁねぇじゃん。俺だって守りたいじゃんやっぱ…大事だもんな」
ふわっと入り込んできた風が京助の足元に集まる
「僕もっ!! 僕も慧喜大事だもんっ!! 守りたいもんッ!!!」
悠助が声を上げると風が悠助の周りにも集まりだした
「いっ;」
静電気のようなものが中島と南に走って二人が手を離すと悠助が駆け出し京助に並ぶ
「京助…悠助…」
緊那羅が武器笛を下ろして二人の背中を黙ってみる
指徳の唇がまた弧を描いた