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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回】雨上がり

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大きな音ひとつ
その後にはキィキィとゆれる室内灯の音だけが残った
「…終わり?; 終わり…?」
南が恐る恐る頭を上げるとパラパラと小石が落ちてくる
家の中はめちゃくちゃで窓にもひびが入っていた
「ほやぁああああああ!!」
響いた泣き声に母ハルミがハッとして立ち上がると吹っ飛んた襖を踏みつけて和室のほうへ駆け出す
「おーい…皆の衆…生きてるかー?;」
「うぃー;」
「なんとか; あー…なんだこれ; 悠のぞうさんじょうろじゃん;」
京助が声をかけると各々が返事をする
「…いじょうぶ? 矜羯羅、悠助」
「ああ…」
「うん…ありがとうタカちゃん」
制多迦の下からはいずり出た悠助が制多迦の頭や背中から小石やら何やらを払い落とす
「阿修羅が結界を壊したんだ」
一人立ち上がっていた鳥倶婆迦が窓の外を見ていた

「大丈夫か? 乾闥婆」
パラっと迦楼羅から小石が落ちる
声をかけても動こうとしない乾闥婆
「どうした…? 怪我でもしたのか?」
「…ッ…どうして僕なんかを庇ったんですか…」
ぐっと力を込めて乾闥婆が迦楼羅の体を押す
「僕はッ…!!!」
「柴田ッ!?」
ほぼ同時に上げられた坂田と乾闥婆の二つの声
「おいおいおいおいおい; あっちに転がってるのもしかして…ッ;」
「ゼン!!; ゴ!!? うっわマジかよ;」
身を窓から乗り出した坂田に続いて京助と中島、南が坂田の上に乗っかって結界がの中で起こっていたことのすさまじさを目の当たりにした
「…帝羅」
矜羯羅が帝羅を鋭く睨む
そんな矜羯羅と同じくらいもしかしたらそれ以上に鋭く睨むのは
「…会いたかったわ…上さんよ」
長い黒髪の間から見える鋭い目
「阿修羅…」
いつもの阿修羅ではないということ
そして何か本当にやばいということ
「お前…? 僕様の結界壊したの」
掲げていた手を下ろして帝羅が阿修羅のほうへと向きを変えた
「いかん阿修羅ッ!!;」
迦楼羅の声が響く前に阿修羅が身をかがめた
帝羅が清浄の体を踏んで阿修羅の自ら近づいていく
表情一つ変えず帝羅が一歩また一歩阿修羅に近づいて
「宝珠を一個使ったんだ…ふぅんそれにしてもたいしたものだね清浄の結界を壊すなんてさ…ねぇ阿修羅」
あと数メートルというところで帝羅が足を止めてフッと笑った
「清浄!!」
慧光が清浄に泣き叫びながら駆け寄る
「柴田ッ!!!」
坂田がはだしのまま窓から飛び出して駆け出すと慧光よりも早く清浄こと柴田を抱き起こした
「柴田!! 柴田ッ!!」
「清浄…ッ」
少し遅れて駆け寄った慧光が手をかざすと光る蓮の花
その光が清浄をやさしく照らす
「…若…濡れますよ」
「馬鹿かッ!!; 自分の心配しろッ…自分のッ」
うっすら目を開けた清浄が坂田に言った
「久しぶりだねこうしてお前たちの前に姿見せるの」
帝羅が腰に手を当ててぐるりと摩訶不思議服集団を見渡す
「いつくらいぶりだろう…うーん…10年くらい? いやもっとかな…この姿になるとさつかれるんだよ…だからむかつくこととか見たくないんだ」
コキコキと首を鳴らした帝羅
「え? なになに?; お前ら全員あいつのこと知ってるん?」
「上は一人しかいないんだ」
中島の問いに鳥倶婆迦が答える
「天と空って分かれてはいるけど…上はあいつ一人だけなんだよ」
矜羯羅が付け足す
「…あれ?」
帝羅が京助を見つけるとしばらく黙って見続ける
「お前…京助、か」
「キョンちゃんご指名はいりまぁす」
「うっさい;」
京助が南を軽く小突いた
「お前の相手はオライやんきにッ!!」
「うるさい」

ゴゥッ!!!

声を上げた阿修羅に向かい帝羅が指を動かすと阿修羅が吹き飛び壁にぶつかる